川北英隆のブログ

日本の大学が順位を下げる理由

ネットのニュースを見ることで視野が広がる。日経新聞だけ、日本の新聞だけ見ていたのでは偏狭になる。そんな中(他の新聞がどの程度取り上げるのかは不明ながら)、アジアの中で日本の大学のランキングが落ちたとのニュースに目が向いた。
大学ランキングに疑問点があることは確かである。「日本の大学は、そんなもんやない」との反論が識者から必ずなされる。一方で、講義の合間を使って、スライドがうまく映らない時など、「この大学、安かろう、悪かろうやなあ」とつぶやいてきた僕にとって、大学ランキングの低下はある程度納得がいく。
最大の要因は教育に対する政府予算の貧弱さである。計測基準はともかく(政府はいろいろと反論していたと思う)、教育予算が少なすぎる。京大の文系なんて、外見だけで評価すればボロそのものである。
第二に、その少ない予算を薄く広くばらまきすぎである。今の日本の大学はかつての高校レベルに近いことしかやっていない。もちろん講義の題目は「大学らしい」が、例えばゼミは、とくに1回生のゼミを各大学が取り入れているものの、その内容は高校のクラスルームとどの程度の差があるのだろうか。その後、3回生になれば就活である。高校レベルとは言わないまでも、今の大学生の多くは短大レベルの能力しか修得しないと断言できる。
研究に関しては、最近笑ってしまった。科学研究助成金を5年間受け、まあまあの成果を残したと思うのだが、その最終成果報告書案を大学に提出したところ、「報告書の分量が少ない」と修正命令を受けた。そこで共同研究者に「もうちょっと、だらだら書くのやて」とメールした。
以前から思っていたが、やはり文科省とその下請けである大学の事務本部は(その事務方針をまじめにフォローしている個々の事務員を非難しているつもりは毛頭ない)、研究計画や成果の内容を目方で計っているような。一番「客観的」な評価だとは思うが、それなら、「寿限無、寿限無・・」と成果報告書に書きたくなる。
以上、日本の大学のランキングが落ちるのは必然だと思える。

2016/06/21


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