川北英隆のブログ

市場の統一と群れる習性

昨日、年金セミナーが大阪で開催されたので聞いていた。途中までしか出席できなかったが、資産運用の専門家からいくつか興味深い話があり、市場の特性が確認できた。そこから二つを紹介しておく。
一つは、1990年代の終わりから世界の市場を統一的に見て投資する流れが一般化してきたということだ。それ以前は、日本、アメリカ、欧州の主要市場といえども互いに分断していて、裁定関係があまり働いていなかったとの説明があった。
だから、互いの市場価格、とくに、市場価格が大きく動くときの連動性は小さかったと言える。それと比べ、サブプライムローンやリーマンショックのとき、世界の市場が同じ方向に同じ程度のマグニチュードで動いたことは記憶に新しい。これは、世界各国の市場が大手の投資家の裁定取引の対象となってきたことと関係している。また、世界的なポートフォリオを考え、投資する投資家が劇的に増えたこととも関係しているだろう。
もう一つは、投資家が群れることである。世界的に見てどの程度投資家が群れているのかの説明はなかった。昨日、指摘されたのは日本の事例であり、オールタナティブ系のファンドの選好に関してだった。かつて流行ったエマージング系が嫌われ、商品ファンド系が好まれているという。
この事例に限らず、日本の投資家が群れることに対してはさまざまな研究報告がある。注意しなければならないのは、群れれば価格が上がることである。相場の格言にあるとおり、「人の行く道の裏に花あり」とも言える。

2009/07/04


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