川北英隆のブログ

政府が引っ張る名目GDP

明日の朝、短観が公表される。業況判断はともかくとして、株式市場にとって最大の関心事項は、企業収益見通しの修正がどのようになるのかである。それを前にして、名目GDP成長率を計算したので参考のために示しておきたい。
日本経済のピークは2007年度だった。そのピークまでの10年間と5年間、すなわち1997-2007年度、2002-2007年度の成長率(年率)を計算した。
それぞれの期間、実質では1.2%、2.1%の成長である。内訳では純輸出(輸出-輸入)が最大の伸び率となっており、その輸出をあてにした民間設備投資も高い伸びとなっている。これに対し、民間消費は1%の伸び率にとどまっており、住宅はマイナスである。公的固定資本形成(公共工事)は大幅なマイナスである。
他方、名目では、0.0%、1.0%でしかない。やはり純輸出と民間設備投資が牽引しているのだが、その力は実質ほどではない。価格下落の影響である。また輸出と輸入の伸び率を比べると、実は輸入の方が上回っている。
さらに、計算の期間を1年間延長し、1997-2008年度、2002-2008年度とすると、名目成長率は-0.3%、0.3%となる。ほとんど成長していないわけだ。しかも、純輸出は2008年度がマイナスであり、名目成長率の引き下げ要因となってしまっている。予想外だろう。なお、民間消費はわずかにプラスである。
では、何が最大のプラス項目かと思えば、政府の消費支出(人件費等)である。公共工事は縮小しているが、それ以外は拡張していることになる。小泉政権が推進した小さな政府とは何だったのか、考えさせられる。現在の政権になり、この項目がさらに拡大するのだろう。
(数値は1次速報のもの)

2009/12/13


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