川北英隆のブログ

牡蠣と柿

昔勤めていたのは大阪出身(発祥)の会社だった。ただし勤務地が東京だったから、事務や庶務の女性は関東出身が多い。そこで飲み会になると、つい方言の話題になった。「ほかしといて」とか「なおしといて」の意味が難しい。
大阪出身の上司に「ほかしといて」と言われて、「どこにですか」と質問すれば笑われる。「なおしといて」と言われて、「どこをですか」と質問しても笑われる。
この2行の意味が分からない人は、「ネットで調べたってんか」ということになる。
それはともあれ、先日、知り合いに連れられて東京は湯島の寿司屋に行った。寿司屋の会長が(寿司屋が株式会社組織だったから、そうしておくが)夕食を客と一緒にカウンターで食べていて、知り合いに「後で二次会に来て」と誘っていた。バーか居酒屋かなと思っていたのだが、一渡り食べ終わって、二次会に一緒に行くことになった。
と、すぐ裏手のビルが会長の自宅のようで、そこの応接間で二次会が始まった。お邪魔した当初、会長が自ら調理場で包丁をふるっていた。5分くらいして、その会長が応接間に登場し、「さあ食べて」と言い、「かきもあるから」と大きな皿をテーブルに置いた。実は、私の好物は貝類である。ラッコみたいかな。干支がトラなので、トラッコか。なんて、それはともかく、「ええっ、かきはうまそう、寿司屋で出てこなかったし」と思い、身を乗り出すと、皿に盛られていたのは柿で、周りはすべて果物だった。
関西の牡蠣と関東の柿の発音は似ていなくもない。関西の柿と関東の柿の発音は全く違う。いずれにしろ、当日、まだ食い足らなかったものだから、つい柿を牡蠣と聞き違えた次第である。罪作りな方言の差(食い意地)である。
ちなみに、関西人は関東の言葉を方言としている。テレビのおかげで方言が標準語として大手を振っているのは残念だ、なんて。ちなみにわが家では大阪と奈良の戦いがあるのだが。

2010/02/12


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