川北英隆のブログ

中国経済と対峙する

最近の論調として目立つのは、GDP(国内総生産)で日本が中国に追い抜かれるのは当然だというものである。追い抜かれることが嘆かわしいとは言わないが、それを何の疑問も感じないで放置することに、一種の危険を感じる。
100年から200年前以前を考えると、中国が日本を圧倒していた事実がある。日本は中国からさまざまな文明を学んできた。その中国がここにきて日本を追い抜くのは当然と言うか、むしろ遅きに失したというべきだろう。人口からすれば、日本の10倍のGDPがあっても不思議ではない。ここにきて強まってきた「当然」という論調は遅きに失している。世の中の風潮に流されすぎだろう。
このブログで問題にしているのは、GDPで追い抜かれることではない。追い抜かれて当然、そんなことはどうでもいいという投げやりな一般的風潮が問題である。政治家としては、心の中で無駄だとわかったとしても、「追い抜かれるな」と気合をかけるのが使命だろう。現実はといえば、国民というか若い世代も政治家も、そんな現実を知らないように振る舞っている。これが大いなる問題である。
気合だけで、追い抜かれることを阻止できるとは到底思わない(白けた表現かもしれないが)。しかし、追い抜かれる間際に相手に気合を見せるというか、追い抜かれることを承知の上での、その後の作戦が重要ではないのか。経済でいえば、日本が何を基礎として世界経済の中での確固たる地位を保持していくのか、その方針を示すことである。
そんな行動や言動や作戦もなく、淡々と振る舞っていること自体が、今の日本の腑抜け度合いを象徴している。

2010/07/02


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