川北英隆のブログ

日本の脆弱性を示すGDP

今日、公表された4-6月期のGDP統計は良くなかった。実質ベースで年率0.4%成長、名目では年率3.7%のマイナス成長である。わからないのは、それでも円が買われたことである。
4-6月期のGDPに関しては大部分が新聞で報じられている。メインは新聞に委ね、あまり話題にならなかったことだけを示しておきたい。
1つは、名目GDPが低下し、リーマンショック以降のボトムであった昨年7-9月期に接近したことである。ある情報紙のコメントに、「昨年7-9月期をわずか0.8%上回るにすぎず、リーマンショック直前のピークであった2008年1-3月期を7.5%下回っている。つまり、リーマンショックによる減少分の9%程度しか取り戻せていないことになる。」と書いておいた。名目ベースでのGDPは企業業績や雇用者所得に影響を及ぼすだけに、ある意味、実質ベースの成長率の低下よりも深刻である。
もう1つは、名目ベースでの輸出入差額が減少したことである。日本の場合、傾向として、輸出額の方が輸入額よりも大きい。その輸出超過額が4-6月期に低下した。それも、過去の超過額よりもはるかに低い水準で。これは日本の輸出競争力が低下している証拠であるが、それにもかかわらず円が買われたことは、異常な力が働いている証拠だろう。国内の主要な投資家の間で、リスクを取らない、もしくはリスクを取れない状況が強まっているとしか思えない。
言い換えれば、投資家が内に篭ろうとしているわけである。金融機関の鎖国であろう。とはいえ、金融機関の鎖国かもしれないが、決して金融鎖国ではない。というのも、金融機関が支配する資金以外は依然として、細々とではあるが海外に流れているからである。政治も経済も金融も、すべて内向きな、非常に変な国に日本がなろうとしている。どうしたものだろうか。

2010/08/16


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