川北英隆のブログ

冬至のアル中

今日は冬至、年末なので奈良の実家に帰った。昼過ぎで今年の大学の講義と用事をすべて済ませたから、いよいよ晦日と正月への突入である。その奈良への電車の中、思い出す風景に出会った。
奈良は奈良でも実家は郡山なので、京都市営地下鉄からの直通はない。地下鉄では奈良までの直通の急行に乗れた。西大寺(「それっとどこや」という読者は調べてほしい)で橿原神宮方面への電車に乗り換える必要がある。5分程度の乗り換え時間があったので駅の売店の横で北風を避けて電車を待っていた。売店ではオッちゃんが売り子と話しをしていて賑やかだった。東京ではあまり見かけない、見知った関係の会話だと思えた。
電車が入ってきたので乗り込み、短時間なので反対側のドア付近に立った。入ったドアの横の優先座席はガラガラだったのだが(って、座れる権利があると思ったわけではないが)、西大寺と郡山間は短時間だったので、奈良の風景を堪能するために立ってみた。
と、オッちゃんが優先座席に座った。缶ビール(正確には第三のビール)を手にしている。東京なんかで朝っぱらからサラリーマン風の男性が飲んでいるのを時々見かけるので気に止めなかった。すぐに電車が動いたが、その直後、そのビールのオッちゃんが「おとうさん、カレンダーをたくさん持ってて、配るの」と大きな声で喋り始めた。ちらっと見ると、向かいの中年の男性が足元にカレンダーらしきものを持っている。その後は、オッちゃんがずっと喋り続け、アルコールのすえた臭いが充満し始めた。声からして、売店で喋っていたオッちゃんだ。今日は競輪で負けたとか、普段は2日働いて1日休む(オッちゃんの言葉で「2、1」と言うらしい)とか喋っていた。
まず思ったのは、こんなオッちゃんから公営賭博はゼニを巻き上げているのかということである。公営賭博に通い続ければ必ず負けるに決まっている。万が一、「何で」と思う読者がいたのなら、よーく調べ、考えて欲しい。このオッちゃんにはそんな知識がないのだろう。ついでに思ったのは、金融商品を販売するのに十分な説明が必要であるのなら、公営賭博に参加するのにも十分な説明が必要なのではということだ。
で、長くなったが、思い出したというのは、学生最後の年に山陰に旅行した帰りのことである。旅行は友人と一緒だったが、帰りに別れた。松江発の夜行の普通列車で京都に帰ったと思うが、隣りに座ったオッちゃんが話しかけてきて、食べるものをもらったと思う。今から考えるとアル中気味のオッちゃんだったとも思える。でも危害を加えるわけでもなく、オッちゃんが途中下車するまでの1時間程度、それなりの話しが展開した。40年近く前のアル中は、現在ほど殺伐としていなかったのかもしれない。

2010/12/22


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