川北英隆のブログ

東証株価指数を新しい器に

今日、さるところで議論していて思ったのは、東証一部上場企業を刷新してはどうかというアイデアだ。シルバー精工に関して書いたように、玉石混淆の市場では、その市場の平均株価も冴えないものになってしまう。
玉石混淆ならまだしも、ミソもクソもいっしょくたにされ、その平均的な姿だということで、東証株価指数(TOPIX)が計算されたのでは重大な問題が生じる。
海外投資家からすれば「日本の株って大したことない」となり、日本市場への投資は後回しとなりかねないし、実際、そうなっている。
市場を追随するインデックス運用がいい加減なものになることは以前に書いたとおりである。そんなミソ・クソのインデックスの後を追いかけたところで、投資家が損をするだけだ。
ということで、玉とその候補だけ、ミソだけを選び出し、東証一部をもっと光らせてはどうだろうか。そんな質問をすると、東証の一番偉い人は「上場廃止にしてしまうと既存株主に迷惑がかかる」と嫌がっていた。そうだとすれば、昔の店頭市場のように落ちこぼれ組の市場を作ればいいし、落ちこぼれ組市場というイメージがよくなければ、東証一部を「スーパー東証一部」に衣替えし、落ちこぼれ組をそのまま「東証一部」に残せばいい。もしくは「残された東証一部」を今の東証二部と合体させるのも手だろう。
さらに、「スーパー東証一部」に上場されている企業は毎年、適格性の審査を受けることにしないといけない。事業規模、中長期的な成長率、利益率の水準などを上場基準、上場維持基準とすることが望まれる。
今後のTOPIXは「スーパー東証一部」の株価をベースに算出すればいい。指数を算出するための上場企業が一気に変わってしまう(減ってしまう)のに問題があるのなら、日本が得意とする経過措置を使い、2-3年で新しい制度に移行することでどうだろうか。
統計的に言えば、新しい東証株価指数にサバイバル・バイアスが生じることになる。要するに良いとこ取りの指数となる。でも、上場廃止基準を厳しくすれば、どの国の市場でもサバイバル・バイアスが生じる。投資家も、成長性がなく、利益率が長期間にわたって低位で推移している企業に投資したいなんて考えもしないはずだ。それに、多少のサバイバル・バイアスが生じれば世の中が明るくなるし、政治家が選挙の時に思いつきで、また方便で公約をまくしたてることと比べると、サバイバル・バイアスの方がよほど健全である。

2011/02/16


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