川北英隆のブログ

前門の虎後門の狼

政府が混乱しているのか、対応に窮しているのか、関西から客観的に見ていると、そう思える。今週、東京での予定が「混乱のため」すべてキャンセルになったので、現地情報は不足だが。
さすがに地震や原発の状況は政府のホームページ、たとえば首相官邸のページにまとめられているし、各省庁からリンクが張られている。しかし、この事実は「ブログを書こう」と思ってアクセスしたから知っただけである。役所のホームページなんて普通はアクセスしない。地震以降、公共広告機構(ACジャパン、経済産業省所管の団体)だと記憶しているが、その提供広告というか啓蒙というか、これがやたら多くなっている。何回も見せられると鼻につく。政府として、この媒体を使い、「こうこういう情報がどこそこ省のホームページにある」ということを視聴者に伝えるのがいい。
また、節電しましょう、買い占めは止めましようだけでは効果がない。買い占めについては、十分な物があることをデータで示し、また輸送手段の確保をどうしているのかを示さないといけない。
原発の事故に関しては不信感が強い。避難の範囲も、アメリカが日本滞在の自国民に対して出した命令と日本政府の対応とが食い違ってきた。何がどうなっているのか、きちんとした説明がなければ不安が募る。また、何も情報がないが、原発が海岸にあるということは、放射能の汚水が太平洋に流れこみ、魚も汚染されるのではと心配だ。今年の秋、サンマが食べられないかもしれない。この点も明らかにしてほしい(なんて、食い意地だけから出た要求かな)。
いろんなところからメールが来て、その情報では、中国人は本国に避難を開始しているようだ。複数の情報では、中国や台湾便の予約がなかなかできない状態らしい。日本の子供も、幸い春休みだからだろうが、関西方面に避難を始めている。
「秩序ある行動」と海外メディアに賞賛される日本人だが、冷静で礼儀正しい表面とは裏腹に、食料や日用品の買い集めに象徴されるような、政府に対する不信と自己防衛本能が見えてくる。友人はそう怒っていた。そういうわが家も、「コメがなくなったら困る」というので今朝、カミさんが買出しに出掛けた。「いっぱい並んでた」というので手ぶらで帰ってきたが。
日本人が冷静なように見えたのは、実は諦念か自失だったのかもしれない。街で見かける義援募金のような礼儀正しさ、親切さは、そうしないと周囲から非難されるかもという自己防衛本能なのかもしれない。
最後に思うのは、節電のため、混雑回避のためには、徒歩での移動がお勧めだが、それだと放射性微粒子を吸い込んでしまう可能性が高まる。前門の虎後門の狼といったところだ。
いずれにしろ、混乱は当初の予想より、はるかに長引きそうだ。

2011/03/17


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