川北英隆のブログ

統合能力の失調

大震災で日本人が賞賛されている。「勇気、強さ、決意」をオバマが称えたという。日本製材料や部品の不足が世界の生産にも影響を与えた。そんな宝を有した日本だが、何かが不足する。
それは統合力だろう。賢いリーダーが不在である。賢いとは知識のことではない。情報収集力、総合的な判断力、知恵そして配慮だろう。
大震災による原発の事故でリーダーの欠如が見事に暴露された。
3/12に書いた原子力安全・保安院のHPの欠陥が最初のほころびだった。
今朝の新聞を見ていて気づいたのは、各地の放射線量レベルの一覧表から福島市が抜けていることだ。このデータの発信元の文部科学省のHPに入ったところ、確かにない。原発付近のデータは詳細に記されているのだが、人口の多い福島や郡山はどうしたのだろうか。抜けている理由がよくわからない。
これに加え、読売新聞によると、「東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった」とのことだ。気象庁は3/11から予測しており、ドイツやノルウェーの気象機関では気象庁のデータと独自の予測に基づき、(国内の状況を)公開しているとのこと。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110404-OYT1T00603.htm?from=top
要するに宝物をたくさん持っているにもかかわらず、日本はそれを上手に利用できていないわけだ。猫さんや豚さんには申し訳ないが、猫に小判、豚に真珠ということかな。「そんなもん、人間だけの宝やニャン」、「ほんまやでブー」と、引っ掻かれ、鼻で倒されそうだが。
それはともかく、「たら」、「れば」の話だが、3/21に書いたように、そもそも巨大津波の情報は日本にあった。それが原発に活かされなかったわけだ。三陸海岸北部の普代では、明治の津波の教訓を活かして一人の村長が15メートルの防波堤と水門を強く主張し、それが今回の津波を防いだ。このニュースは日経でも報じられたが、無料で読むには次の読売のページがいい。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110403-OYT1T00599.htm?from=navr
この村長こそ大臣や総理大臣にふさわしいのかもしれない。生きてられたらのことだが。昨年11/13に書いたように、物事の細部しか見えない、係長に要求される才能しかない器が、議員や大臣になってはいけない。これは何も現政権だけのことを言っているわけではないので、念のために。

2011/04/04


トップへ戻る