川北英隆のブログ

政府は無責任の無責任

前から気になっているのが、福島原発事故の責任をめぐる枝野氏の発言だ。要するに政府に責任はなく、事故によって生じる賠償額の全額を東電が負担すべきだと主張している。
ロイターの記事を引用しておく。(枝野氏は5/2の参議院予算委員会において)原子力損害賠償法で原子炉の事故による損害は事業者に無過失責任が規定されていると指摘。同法は「異常に巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでないと例外規定があるが、1961年の国会審議で、異常な天災は人類の予想していない大きなもので全く想像を絶するような事態と説明されている。国会などでも(今回のような)津波によって(原発が事故に)陥る可能性について指摘されており、(今回の震災は)大変巨大な地震だが、人類が過去に経験した規模」として、例外規定に該当する可能性はないとした。
この記事の内容からするに、以前から事故の可能性が指摘されていたし、想定されていたのに、東電は対応してこなかった、だから東電が悪いと主張しているのだろう。ではと思うのが、「原子力安全・保安院、原子力安全委員会という屋上屋を重ねた行政組織って何やったんや」、「タダ飯を食らっていただけなのか」、「それを歴代の内閣がほったらかしにしていたのか」という疑問だ。
東電に責任がないとは言わない。しかし、この場に及んで「政府は無責任」、「以前から危険性を指摘してきた」というのはあまりにも無責任な主張である。
昔、会社勤めの頃、「こうこう言ったのに相手が応じなかった」と上司に報告したら、「机を思いっきり叩いて言うたか」と咎められた。言うだけならアリバイ作りでしかない。
こんな情けない政府や議員のために日本の誰が頑張るのだろうか。原発が立地する市町村から一揆が起きたとしても当然だと思えてくる。少なくとも、休止中の原発の再稼働は困難になり、日本の電力供給は非常に不透明と思わざるをえない。

2011/05/02


トップへ戻る