川北英隆のブログ

山と海外の食事・上海

海外での食事というと、是非書いておかなければならないのが上海は豫園での中華だ。1996年、「中国はすごい、人がうようよいる」、「一見の価値あり」との知人の言葉を信じて、初めて中国に行った。
上海市内に着いたのは夜だった。それも夕食以降の遅い時間だ。少し腹がへったというので、ホテルの近くを歩いて食堂を探した。当時の上海市内は良かった。小さな食堂が夜遅くまでやっていた。店の前に水槽があり、魚が泳いでいるかと思えば、店に一歩入るとカエルやヘビが籠に入っている。そんな食堂に入って何を食べたかは忘れたが、とりあえずは通常のものを頼んだはずだ。覚えていないから。
翌日の楽しみも食事、中心近くの少し高級そうなレストランに入り、水槽に入っているウナギを頼んだ。どんな姿で出てくるのか楽しみに待った。ぶつ切りで出てきた。さっと油で炒めた後、香りの強い野菜と一緒に煮てあったように思う。台湾の鶏と同じ調理方法だ。なかなか美味かった。
そのさらに翌日だったと思うが、豫園の近くの高級レストランに行くことにした。ガイドブックにあったスッポンが目当てだった。日本円でもいい値段だったが、国内のスッポン料理と比べれば格段に安かった。数品頼み、さらにスッポンを頼んだが、時間がかかるという。確かに、スッポンの前に出てきたのを食べ終わっても、肝心のスッポンは一向に出てこない。待ち疲れた頃に出てきたのは、大きな鍋に入ったスープだった。一匹がまるごと、そのスープの中を泳いでいた。山の師匠が香港で食べたという「スッポンまるごとスープ」そのものだった。
食べると、「そら美味い」。しかもほとんど食べ尽くせる。残ったのは小さな脚の骨数個だったと思う。一緒に行ったのが言うには、中国では満足したことを表現するために少しは残すものだと。でも美味いものは食べ尽くすのも礼儀だろう。とくにスープの中を泳いでくれたスッポンさんのためにも。
残念ながら、3年後にそのレストランを訪ねたところ、姿がなかった。そのレストランだけではなく、当時見つけた古き良き、当然美味いレストランを今は探し当てることはできない。残念である。

2011/07/13


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