川北英隆のブログ

山と海外の食事・ベトナム

中国の料理にはいろいろ思い出があるものの、とりあえずベトナムに飛ぼう。実は今日、ベトナム料理の話をしたところだから。その感想は美味いに尽きる。日本料理のルーツの1つだと思う。
ベトナムに行ったのは1999年だった。今はずいぶんと変わったのだろう。当時、北と南では趣が異なった。ハノイとホーチミン(サイゴン)に滞在した。
ハノイで有名な犬の料理を食べられなかったのは良かったような、残念なような。それはともあれ、ハノイで食べた香草いっぱいの焼肉(犬ではない)は安くて美味かったし、夜に入ったフレンチも、内容はほとんど忘れたが、赤ワインと料理の組み合わせが抜群だった。当然、安かったし。当時の旅行と山登りの相棒は、そのハノイで、「永住するのならベトナムだ」と豪語していた。
ホーチミンは、食に関して別の文化だった。中学から高校時代の友人T君がベトナム駐在で、「ぼちぼちベトナムも終わりやさかい、一回遊びに来たら」という誘いを受け、本当に行ってしまった。ハノイは相棒と2人だったが、ホーチミンはそのT君の案内付きで楽しめた。
何が良かったのか。
まず、ドリアンが美味かった。父親が戦時中(多分、降伏した後だろうが)、なけなしの1枚の毛布を半分に切り、片割れをドリアンと交換したくらいだから、どんなに美味い果物だろうかと関心があった。ちなみに、毛布の残り半分は奈良の実家の「宝物」として長らくあった。ドリアンを食べるのは、そのベトナムが3回目だと記憶しているが、それまでのに比べて格段に美味かった。
もう1つは魚である。日本と同様、魚を生に近い形で食べるレストランに行った。T君の紹介だから、それが正当なベトナム料理かどうか不明だが、ナンプラー(魚醤)の味が素晴らしかった。韓国で食べる刺身とは完全に異なっている。他の料理もあっさりしていて、それで味があり、ひょっとして日本料理のルーツかと思えるくらいだった。
もちろんフォーも美味い。あっさり味のものを食べたが、何杯でもいけそうだった。
3日滞在した中日だったと思うが、メコン川まで行き、名物のエレファントフィッシュの唐揚げをコースで食べた(この味はお薦めでない)。その日の夜、相棒が腹を完全に壊した。コースの野菜が駄目だったのか、理由は不明だが。その後の相棒は「ベトナムに永住する」なんて言わなくなったし、ベトナム旅行も完全拒絶である。
天と地のベトナムの食べ物、もう一度味わいたいと思う。日本で、それに匹敵するベトナム料理があるのかどうか。少なくとも東京では(美味かったものの)、そこまでのものには出会わなかった。

2011/07/16


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