川北英隆のブログ

山と海外の食事・モロッコ

モロッコの最高峰、ツブカル山は長年の懸案事項だった。確か2001年、行けそうになったが、欠席できそうもない会議が入り、断念した。結局のところ、実現したのは2008年だった。
秋に行くのならチャンスは何回かあった。しかし、どうも春が良さそうだったので、そのチャンスを待っていた。というのも、ツブカル山(4165メートル)は、地中海とサハラ砂漠を区切っているアトラス山脈の最高峰である。山の本を読んでいると、アトラス山脈には冬に雪が積り、春に溶けて川となる。そのため、谷が緑で埋め尽くされるらしい。花も美しそうだ。
実際も緑が豊かだった。緑は沢だけで、山は岩がいっぱいで茶色かったが。
登山口の村、イムリルへはマラケシュから車で2時間程度かかる。1800メートル地点だ。イムリルはサクランボの産地である。そこで荷物をラバ(ミュール)に背負わせ、ハッカと砂糖をたっぷり入れたミント茶を飲み、登山に出発した。3000メートル地点の小屋まで歩き、翌日に頂上を目指す。小屋では現地のガイドが食事を作ってくれる。横には雪溶けの水が流れている。小屋の中は少し湿った感じはするが、まずまずだった。翌日、雪渓の谷を歩き、岩だらけの稜線に出て頂上に着いた。帰りは同じ道を戻る。健脚ならその日のうちにイメリルまで戻れそうだが、我々は小屋でもう1泊した。
登山の後、イメリルに戻り、行きには眺めるだけだったサクランボを食べた。日本のに似ていた。実のところ、サクランボよりもビールが欲しかったが、イスラムの国の田舎にはビールはなかった。
ツブカル山の後はアトラス山脈を越え、サハラ砂漠の北端を観光した。ヒツジの肉を期待していたのだが、タジン料理しか出てこない。タジン料理はあまり味がないので、すぐに飽きてしまう。旅行会社に、「ヒツジは出てこないの」と質問したところ、「それでは」ということで1回出てきた。串で焼いているために脂が適度に落ちて、すごく美味かった。モロッコではメクネスでなかなかの赤ワインが作られている。それなのにヒツジが1回というのは、今から思うと残念である。
日本人がヒツジ好きになれば、もっとふんだんに出してくれるだろうに。日本の牛肉は御難続きだから、そのうちヒツジの天下が期待できるかも。

2011/07/26


トップへ戻る