川北英隆のブログ

日銀短観へのコメント

本日、9月調査の日銀短観が公表された。事前予想のとおり、大企業中心に日本経済の回復が見られた。明るい内容だったが、市場でそれが材料視されることはなかった。ある意味当然だろう。
1つは、先行きの不透明感である。短観にもそれがよく表現されている。その最大の証拠は下期の収益計画が下方修正されていたことである。上期が全般的に上方修正されたことと対照的だった。足元の数字が良かったからといって、それを喜ぶのはぬか喜びだ。
もう1つは、日本経済が自律的な動きを示していないことである。世界経済の動向に左右されっぱなしである。株価も同じであり、極端に言えば海外の写真相場でしかない。そうだとすれば、日本経済の現状から先行きに関する調査である日銀短観を参考にし、売買しても仕方ない。
さらに付け加えると、短観の数値を予想した各調査機関の数値が大体当たっていたように、短観に回答する企業側の情報は、投資家と共通のものが多いことである。短観は生産統計や輸出統計のような1次情報ではない。1次情報を解釈したうえで、企業は日銀のアンケートに答える。調査機関とすれば、そして一般の投資家もそうだが、短観の数値がどうなるのか、おおよその見当は付けられる。もっとも、事前予想が大きく外れると相場は荒れるのだが、企業業績予想と異なり、多数の企業が回答する調査に大きな外れはまずないだろう。
最初の理由はともかく、後の2つの理由は当分通用するから、短観への注目度は低下せざるをえない。

2011/10/03


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