川北英隆のブログ

カメルーンという国2

ギニア湾の沿岸ですぐに連想するのは、象牙、奴隷貿易、暗黒大陸だろうか。象牙や奴隷貿易は現実だった世界である。これに対し、暗黒大陸のイメージは主観的な幻想でしかない。
ギニア湾岸の熱帯雨林にはゾウやヒョウが多数棲息していたらしい。今でも一部の保護地区に棲息している。しかし、カメルーンでゾウを見るには4日間の「歩くサファリ」に参加しなければならず、それでも出会えるかどうか確約できないそうだ。サファリを観光産業と位置づけている国では、どこでゾウが活動しているのかおおよそは把握し、ほぼ確実に見られるようにしてくれるものだ。しかし、観光が産業として確立していないカメルーンでは「見られない」ことも覚悟しなければならないのだろう。
当初の奴隷は、西洋人が自国から持ち込んだ物品と交換に現地の王様から購入したようだ。いまでも昔からの宮殿に王様が住み、博物館をしつらえている。そこに近隣との戦いで捕まえた奴隷との交換で白人から獲得したという品物が飾ってある。そのようにして輸入した安物ビーズが展示してあるのを見るにつけ、光物が趣味の現地人を騙す西洋商人の手口を連想させる。やがて武力で奴隷を狩り出す極悪商法が横行したのだろうが。
そんなギニア湾にほとんど裸で暮らす現地人は、西洋から見ると暗黒だったのだろうが、気候が悪いヨーロッパと異なり、現地で衣服が必需品だったわけでもない。農業に汗水を流さなくてもバナナ、ヤムイモ(日本のジネンジョやナガイモと同じ種)、ココヤム(サトイモと同じ種)、魚などが適当に収穫できる。
ある意味、楽園に近い文化があったのだろう。もちろん、より多くの富というか自然の恵みを求めず、近隣との戦いもなく、さらに白人がやってこなければとの前提だが。

2012/01/29


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