川北英隆のブログ

今日の大機小機へのコメント

日経朝刊の大機小機に「株価の低迷とインデックス運用」と題した議論が掲載されていた。結論は「十分な企業業績の達成」への期待であるが、他方で「インデックス運用の擁護」のような。変だ。
最後の最後の直前までの議論、インデックスに採用された日本の代表企業が十分な業績を達成していない、このため株式の投資パフォーマンスも期待通りでなかったとの議論はそのとおりである。でも、そこからいきなり「インデックス運用から投資家が離散してアクティブ運用が増えれば株式市場が再生するというのは、・・・根幹の議論とは思えない」との結語には疑問符がいくつも付く。
そもそも、その論理展開が不明である。ひょっとして、この手のコラムによくあることだが、ゴーストライターがいて、その影武者の文章かもしれない。それを代表者が十分にチェックしなかったのかも。
第二に、ある企業の業績が期待以下だとして、そんな企業に投資するのだろうか。そうだとすれば、インデックス運用を神聖化し、神棚に祭り上げすぎである。「インデックス運用」という、いわゆるブランド崇拝そのものだ。これはインデックスかアクティブ(投資銘柄を選別する)かの議論以前の問題である。もちろん、ダメ企業が徹底的に売られれば、「そろそろ投資しようか」と考える余地も生じるだろうが、次に述べるように、徹底的に売られているわけでもない。
第三に、インデックスが主流であるかぎり、ダメ企業もそこそこ買われる。そんな微温湯状態では日本の株式市場全体がダメなまま終わるのではないか。
第四に、インデックス運用を続けるのなら、選択肢は2つしかない。平均値としてダメな日本市場を完全に無視するのか、日本市場と心中するつもりかである。本日の大機小機の筆者は日本市場を捨てていないようなので、多分、心中するつもりかもしれない。それとも、いずれ企業全体が改心すると期待しているのかとも思うが、企業の改心は10年以上もの長期間、実現していない。
本来のアクティブ運用とは、株主としての投票権の行使である(これはグッドバンカーの筑紫社長の受け売りだが)。投資家として市場での投票権を放棄し、インデックスに没頭するのは正しいのだろうか。市場全体が期待しうるパフォーマンスを達成している、もしくは取引所がダメ企業を適切に排除してくれているのならともかく、そうでないのなら、投資家自身が投票権を行使し、市場の規律を確立すべきである。市場の発展は企業側だけの努力で達成されない。投資家の、一般的用語で表現するのなら、ガバナンスも重要な役割を担う。つまり、両者がうまく噛わなければならない。
今日の大機小機は残念。今一歩のところで失速し、墜落である。

2012/02/04


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