川北英隆のブログ

休眠預金、重箱の隅をほじくる

ニュースによると、政府は起業支援などを検討する「成長ファイナンス推進会議」の初会合を開き、「休眠預金」の活用策の検討を始めたという(読売新聞の要約)。
休眠預金は毎年850億円程度あり、そのうち年300億円程度が活用できるので、起業家や非営利組織などに融資したいそうだ。
感想は、1つに、みみっちすぎる。国家戦略大臣や「成長ファイナンス推進会議」の名が泣くだろう。国家戦略と称して最初の案件にこんなものしかないのだろうか。それとも、もっと大きな案件はあると知っているのだが、国会の承認が得られないと最初から諦めているのか。いずれにしても、国民からすると、「こんな会合を開くためになんか、びた一文税金を払いたくない」と思ってしまう。
もう1つの感想は、休眠預金と名付けられているからといって、カネが寝ているわけではないということ。名目上、そう分類されているだけだ。要するにカネに色は付いていない。だから、銀行が期待される役割を果たしているのなら、有意義なことに休眠預金も使われている。そのカネを政府が取り上げて使ったとすれば、銀行として使えるカネの量が減るだけにすぎない。「成長ファイナンス推進会議」は経済のことを知らないのか。
もしも、「成長ファイナンス推進会議」が、銀行は期待される役割を果たしていないと思っているのなら、そんな銀行にはっぱをかければいいだけだ。たかが300億円のために、偉い先生方が鳩首凝議する必要はない。カネの桁として、ゼロが1つや2つ少ない。
情けない国の情けないニュースである。

2012/02/15


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