川北英隆のブログ

スポーツと株式投資

スポーツから経営や人生の教訓を得たとの記述が多い。株式投資への教訓も同様である。では、その教訓は本物なのか。教訓が得られるとすれば、どの競技がいいのか。
僕自身、真面目にやったのは山歩きしかない。これ以外、あえて挙げれば長距離ランニングだが、こちらは当てにならない。
では、山歩きから教訓が得られるのか。教訓とは言えないまでも、似たような状況に直面することは多い。とくに天候(株式投資では景気)が悪くなった場合の決断である。また、事前の計画とリスク対策(株式投資で予定の利益が生まれなかった時の対応)である。
企業に所属しているとプロジェトの計画は、適当に作ろうと思えばいくらでも可能だ。要すると、「採算に乗る」との落とし所に至る道筋を描けばいいだけだから。もちろん、いろんな外部チェックは入るだろうが、状況を一番よく知っているのは立案の担当者だから、適当にごまかせる。そんないい加減なことを僕自身がやったわけではないが、実際のところ、その誘惑はいつでもある。ついでに言うと、経営者は、この担当者の「いい加減さの可能性」を常に念頭に置かなければならない。
山歩きの場合、そうはいかない。歩いた時の天候や道の状況はごまかせない。しかも、情報は、実際に行ってみないかぎり正確に分かるものでもない。これに加えて、下手をすると命が危険にさらされる。ということで、いろんな状況を想定し、逃げ道を考えておくことになる。つまり、いい加減な企業のプロジェクトよりも、はるかにしっかりとした計画が山歩きでは描かれる。この山歩きの立案さえしっかりとこなせれば、企業のプロジェクトなんて軽いものだ。
また、実際に歩いてみて決断を下さないといけないことも多い。事前に逃げ道を想定していたとしても、その案を採択するのはつらいことである。しかし、リーダーの立場で歩いているのなら、他のメンバーの体力も考えて最後に決断しなければならない。リーダーでなくとも、自分や友達の命に関わるから、リーダーの決断に対して異を唱えないといけない場合もある。これらもまた、命に関わるから、企業経営よりもある意味で重い。
他のスポーツを知らないから、野球は、サッカーはと論じるのは不可能である。とはいえ、いずれも作戦と決断が必要である。推測するに、山歩きとよく似たものか。違いがあるとすれば、山歩きは直接命と関わるが、野球やサッカーが命にかかわることはまずないことだろう。

2012/08/17


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