川北英隆のブログ

藪山の歩き方

先日の武奈ヶ岳から蛇谷ヶ峰への縦走で藪山めいた、少し難しい部分を歩いた。実際、広い尾根の分岐で迷っている男性がいた。山は、メインのコースから外れると難しくなる。そこで藪山の歩き方を。
東京に住んでいるとき、同じ山を登らない、同じ山を登るのであれば違うルートからというのが主義だったから、必然的に藪山に入ることになった。だから、昔は、どこであろうと普通に歩けた。京都に移って実践的な技術水準は落ちたと思う。
それはともかく、基本は地図をしっかりと見ることである。高度計やコンパスが発達しているので、地図での確認がやさしくなった。最近ではGPSが普及しているので、それに頼ることも可能だろう。僕自身、GPSの購入は非常に早く、15年以上も前である。当時、衛星の確認がうまくいかず、山では使えなかった。その時点で諦めたままとなっている。最近、どの程度発達しているのかは不明だが、感度が非常によくなったと聞いている。
とはいえ、GPSとにらめっこで歩くわけにはいかないだろうし、歩けたとしても疲れるはずだ。藪医者がいろんな高額の機器での検査に頼るのと似ている。藪山での道を要領よく歩けることが一番重要だろう。
多くの場合、道は尾根に付いている。尾根に上がるとか、尾根から下るとかの場合を除くと、尾根を忠実にたどることが重要な技術となる。この点、木々が茂り、足元にも草が覆いかぶさる夏場は難易度が増す。落葉後の季節が藪山を歩く季節となる。問題は尾根の分岐と、尾根が広くなった場合である。このとき、自分の位置を確認できないといけない。2.5万分の1の地形図の持参が望ましい。
もう1つは、踏み跡をたどれる技術である。尾根に入り、踏み跡の「確からしさ(踏みしめられている度合や視覚的な明瞭さなど)」を記憶に留めておく必要がある。その「確からしさ」が尾根を通じて大体続いていると思っていいだろう。もちろん、別の尾根に入ったりすると、「確からしさ」も変化するから、記憶をリセットしなければならない。
歩くと、踏み跡は少し硬い。外れると木の葉などが積もっていて柔らかい。足の裏に感じる土の硬さも覚えておかないといけない。また、好事家が歩きそうな道の場合、さすがに道標はほとんどないが、テープやビニールで目印が付けてあることも多い。どのコースの目印なのかには注意が必要だが、この目印はなかなか貴重だ。
最後に、迷った場合の判断が重要となる。位置を確認するために偵察する、分かっている地点まで戻る、想定しておいたエスケープルートを下る、はっきりした地点まで迷ったままで突き進む(この場合、崖や滝など危険な場所がないことを地形図で確認しておかないといけない)などの意志決定が求められる。
藪山は緊張の連続である。生命に関係する場合があるから、なおさらだ。とはいえ、余程のことがないかぎり死なないから、自己責任のためのすばらしい体験だと思うのだが。

2012/08/28


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