川北英隆のブログ

田中真紀子大臣は愚か賢か

田中大臣が大学設置審議会の決定を覆し、三大学の新設を不認可とした。これに対して非難轟々の大合唱となっている。思いつきで不認可としたのではないか、アホやということだろう。
でも、よく考えてみれば、日本には大学が多すぎる。定員を満たせない私立大学が46%にも達している。大学に入るだけなら、きわめて易しいのである。この状況において、新たな大学を設置すればどうなるのか。
また、大学を出たけれど就職できない学生も多い。大学を出ることにどれほどの価値があるのか。大学で教えればすぐに判明するように、また過去の自分を思い出して欲しいのだが、何割の学生が真剣に大学で勉強しようとしているのか。
以上のように考えると、大学の新設には余程の理由がないといけない。もしくは、既存の定員を振り替えたうえで、設立することが望ましい。最善は、不要な大学を大胆にリストラしたうえで、日本全体の大学の定員を減らしつつ、新たに必要な大学もしくは学部を新設することである。
今回の3つの大学を新設する最大の意味を考えると、地方に設立する点だろう。通学するのに下宿する必要が少ない。親の負担も少なくてすむ。審議会の議論がどのように行われているのかは知らないが、地方に飛行場を設置するような感覚であれば困ったものだ。いずれにせよ、審議会において大局的な議論がなかったのではないかと勘ぐりたくなる。
田中大臣が議論を巻き起こしたのはいいことだった。末期の民主党にあって最大の手柄かもしれない。これを機会に、大学のあり方を文科省は真剣に考えて欲しいと思う。
追記:せっかく田中真紀子氏を褒めたのに?、今日、三大学の新設を認め方針に転換したらしい。単なる思いつきか。とはいえ、今回のことを大学のあり方に関する議論の糸口とし、災いの方もすぐさま福に転じてほしい。

2012/11/06


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