川北英隆のブログ

郡山の店・尾川

郡山(といっても福島ではない)の料理旅館、尾川で食べた。父親の一周忌の法事だったので、お坊さんに昼前に来てもらい、その後の昼食を尾川でセットしたわけだ。
車で送迎してくれる。どの付近まで来てくれるのかは知らないが、「京都の自宅まで来い」はありえないだろう。迎えに来てもらい、実家から10分程度で尾川に着いた。道すがら、元の実家の前を通りながら、細い道を直角に3回折れた。あまり遠くまで歩けなくなった母親にとっていいドライブだったと思う。
本題の尾川は、郡山に産業としてメリヤスが栄えた終戦から20年くらいの間、非常に流行っていたとのことだった。しかし、当時の尾川がどんなだったのかは知らない。古い町家風の建物だったように記憶しているが、余程の用事でもない限り通らない地域なので、確かではない。今は改装したようで、周囲と比較して立派さが目立つ。建物は木造で、玄関の床は高級木材で飾られている。母屋のすぐ奥にある中庭も立派だった。そもそも通りに車がほとんど通らず、静かに紅葉が楽しめた。
郡山にわざわざ宿泊する旅行者も少ないだろうから、尾川は料理がメインになっていると思う。畳の上に絨毯を敷いた座敷に通され(そう指定しておいたから)、椅子席に座った。紅葉の中庭が見える。
それを見ながら懐石料理を食べた。今は完全な田舎町になった郡山にしては素晴らしい内容だった。魚も新鮮である。味も上品で、料理に工夫もあった。結果、昼なのでアルコールも多少程度に留めたので、ほぼ1万円/人だった。値段との比較で非常に満足した。
最後に一言、ミシュラン様の星が降りた郡山のフランス料理屋、ル・ベンケイは尾川の姉妹店だと、母親が言っていた。多少、ミシュランの評価への疑惑が薄らいだ。

2012/11/18


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