川北英隆のブログ

円安になれば生活はどうなる

民主党から政権を奪還した自民党は、アベボンに言わせると、「円安」を目指すらしい。では、政策目標が達成され、円安になれば生活はどうなるのか、イメージしてみよう。
円安になると輸入価格が上昇する。同じ1ドルの製品であっても余分に円を払う必要が生じるから、当然である。海外旅行が割高になる。以上は誰にでも分かる話だ。
最大の問題は電力料金だろう。原発が停止したままの状態では、発電するために原油や天然ガスが必要になる。これらはすべて輸入に頼っている。このときに円安となれば、ドルで表示された価格に変化がなかったとしても、日本の電力会社は高い円資金を払って発電用の燃料を輸入することになる。この燃料費の上昇は電力価格に反映される。そうでなければ、電力会社が潰れるだけだ。電力会社が潰れるのは勝手だが、では潰れた後に誰が電力を供給するのだろうか。こう考えると、潰すわけにはいかない。
つまり、円安は電力価格の上昇に直結する。電気代が高くなると、庶民は(「庶民」とは、為政者が使う慇懃無礼な用語であり好きでないが、この場合はフィットしそう)エアコンを止め、昔ながらにコタツを居間に出して家族全員が丸まり、寝るときには湯たんぽを布団に入れて、冬の寒空を過ごさないといけなくなるだろう。
産業界(主に輸出中心の製造業)は円安を主張しているが、それは自分たちの直接的な利益にプラスになるからの主張にすぎない。日本経済全体を見渡しての発言でないことに注意が必要である。円安で潤うのは輸出産業である。一方で損する業態も多く、そのツケは最終的に庶民の負担となる。
大局的に言うと、現在の日本では輸入のほうが輸出よりも多いわけだから、平均的な日本人にとって円安は敵である。もっと言えば、衰退した国の通貨は安くなる。日本が衰退すれば、アベボンが望む円安となる。逆に、伸び盛りの国の通貨は高くなる。円高は日本が世界的に評価されている証である。言い換えると、自国の通貨が安くなって繁栄した国はない。アベボンが望むのは、日本の衰退でしかないと思えて仕方ないのだが。

2012/12/17


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