川北英隆のブログ

株式市場にどう臨むのか

NHKから取材申し込みがあった。「こういう市場では、市場担当者として株式市場ばかりになるので」、「メディアが株価上昇を煽っている面もあり」と言われれば、こちらもニヤリとする。
3/20のニュースウォッチ9で放映するとのこと。どういう内容になるのか知りたいとは思うものの、放送を見たりすると、筑波の四六のガマになりかねない。ということで、こういう手のものを見た記憶がほとんどない。以前ならビデオを送ってもらうことが多かったものの、その類のものはもらいっぱなし、部屋の隅に積んだままになる。やがてそんなビデオを見られる機器が消滅してしまい、見たいと思っても手段がなくなっていたりする。
NHKに何を喋ったのか。株式投資だから、何の投資原則もないし、どうすれば儲かるのかも確実な方法はない。とはいえ、年末以降の株式市場は短期利ざや狙いが多すぎる。売買高で見れば、他の投資家と比較して個人の増え方が著しい。とはいえ、信用取引の割合が格段に増えたわけではない。つまり、短期的な利ざや狙いの個人が信用、現物を問わず、まさに大汗をかいて売買している。一方で個人投資家の売り越し額が増えている。
言い換えれば、短期で売買する投資家だけが雨後の竹の子のごとくはびこり、長期で株式に投資しようとする個人は絶滅危惧種である。個人は、株式投資とは賭博の一種であり、長時間付き合うものではないと信じているようだ。
どういう投資家が望ましいとか、短期売買する投資家はよろしくないと言っているわけではない。投資家層の長期投資と短期投資のアンバランスさが問題である。こういうアンバランスな状態が続くかぎり、日本の株式市場の発展はないだろう(NHKには真正面からそうは言わなかったが)。
それにしても、企業の事業の実態から評価して、日本の株価水準は高い位置に到達した。今後は企業利益の増え方に注目しておきたい。利益が増えなければ、現在の日本の株価は「行き過ぎゾーン」入りしかねない。
この点、メディアは「景気が回復するには株価上昇が望ましい」とイメージし、記事で株価上昇を煽っているようだ。そこで思うのは、メディアは過去の記事や映像を振り返り、反省しないのだろうかという疑問だ。もしも振り返っているのなら、四六のガマ以上になり、毎日、謝罪をたれ流さないといけないだろう。謝罪がぎっしり詰まった新聞やテレビなんて誰も見たくない。だから、反省なし、前向きがメディアの常道となる。こんな思いをいつも抱いているものだから、今日会った記者の導入句にニヤリとしたわけだ。

2013/03/19


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