川北英隆のブログ

株価はバブルの予兆

日経の記者と情報交換していると、「電力株が上がってる」と教えてもらった。残念ながら電力株は保有していないので気づかなかったが、調べると確かに上がっている。それも、東電でさえ。
これは最近気づいていたのだが、TOPIX(東証株価指数)の上昇率の方が日経平均よりも高くなっている。今まで冴えなかつた銘柄、いわゆる出遅れ株が上がっているのだなと思っていた。「どんな出遅れ株が上がってるのか」と調べればいいのだが、自分のポートフォリオの入れ替えの時間もない(日中に証券会社に連絡する時間がない)状態だから、じっくり調べる時間なんて到底ない。
で、本題だ。東電以外の電力会社は電気料金の値上げさえ認めてもらえれば一息つく。原発の再稼働も話題になっている。何とか配当が可能な状態に戻るか、それを維持できる。ということで、出遅れ株として買われても不思議ではない。僕自身、「買うの」と問われれば、「買わない」だが。「買わない」と思う理由は次のとおり。
かつての利益水準に戻る十分な値上げは認めてもらえないし、原発を稼働させるには追加の投資が必要となる。そもそも電力会社の給与水準が下がり、監督官庁から無理難題を突きつけられる可能性の高い業種になったから、優秀な人材が入社しなくなる。今いる優秀な人材もチャンスがあれば転職するだろう。こう考えると、現在の電力会社の未来は明るくない。
一方、東電はといえば、出遅れ株でもなく、さらに劣る銘柄である。福島原発の廃炉のための費用や賠償を考えると、いつ復配できるのかまったく不明である。かつての日本航空のように、どこかで今ある東電が消え、新たに東電(新東電)をしつらえ、再生を図ろうとの政策が登場しても不思議でない。
ということで、3月末から始まった株価の上昇は正気の投資とは思えない。ボロ株をオモチャにしているとの見方も成立するだろうが、結果としてこの3日間は暴騰である。市場全体の浮かれたムード、つまりバブルの走りと考えた方が正しいように思う。
追記:4/13の日経の株式面に電力株のことが載っていた。電力会社の再編期待で株価が上がっているのだと。分からないのが、十分な値上げの認められない電力会社が再編してどう経営が良くなるのか。もちろんコスト削減があるのだろうが、たとえ実現したとしても道程が遠い。加えて、東電をどうするのか。いずれ誰かが負の遺産を継承しないといけない。その時、既存の株主の負担をどうするのか。今の東電の賠償責任などを考慮すると、株式の価値がゼロと見積もられても当然かもしれないので、100%減資し、再編の過程で実質解体とのシナリオも十分ある。いずれにせよ、バブルの走りだから、期待だけに焦点が当たり、負の部分は見ないのだろう。

2013/04/12


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