川北英隆のブログ

京都の店・萬亀楼

萬亀楼(まんかめろう)という。京都府庁の西、二条城の北である。大学の学部の懇親会で出かけた。公共の交通はバスしかないから、どうしてもタクシーだ。名前を言えばと思ったが、甘かった。
創業は享保7年(1722年)とか。「御所ゆかりの生間流式庖丁(当代29代目生間正保)・有職料理を正式に継承して」とか書いてある。昔、西陣の旦那も使ったのだろうか。そんな店を誰が知っていたのかとも思うが、さすがに老舗の風格があった。
店の格は最初の一品で決まる。小豆と長芋とこのわた?だろうか、それらを小さく固めたものが印象に強い。鮎も小ぶりの焼きたてが出てきた。昨日の店よりも大きめなので養殖かもしれないが、焼きたてなので美味い。
と言いつつ、不満は酒だった。頼んでも上品にしか持ってきてくれないので、今年の梅雨と一緒、すぐに涸れてしまう。「商売っ気がないな」と言いながら飲んでいた。「健康にええやん」とも。
それはともかく、京都の奥は深い。
最初に戻ると、店の名はタクシーの運ちゃんも知らなかった。「素人か」と思ったが、個人タクシーであり、住所を言うと、すすっと連れて行ってくれたから、店の客が少ないのだろう。今のうちに行かないと、いずれ消滅している恐れが多分にある。
酒1本の注文を聞いたら10本くらい持ってくる厚かましさがないと成り立たないやろと思うが、そこが老舗の奥ゆかしさ。この態度が丁と出るか半と出るか。女将らしい女性は60代半ばのようだったから、後10年が勝負だろう。

2013/06/13


トップへ戻る