川北英隆のブログ

エボラ出血熱と教育問題

西アフリカ(ナイジェリアから西のアフリカ海岸線)はエボラ出血熱で大変なことになっているようだ。そのような伝染病を経験したことがない。また、その近辺で行ったのはカメルーンだけである。
問題は、ナイジェリアがアフリカの大国に成長していることであり、ナイジェリアほどでないにしろ、その周辺国が人口においてアフリカの1つのコアである。日本のアフリカ熱はどうなったのか。
ともあれ、ナイジェリアの隣のカメルーンを旅行して思ったのは、教育問題である。経済的に本当に発展するには教育が欠かせない。
大学生に教えていて思うのは、歴史が簡単に風化することである。かつて江戸末期から明治初期にかけての日本人は西洋からの文明に驚いた。汽車を忌み嫌ったとも聞いている。そんなことを今の日本人の何人が理解しているだろうか。
それと同じことがエボラ出血熱でも生じている。当時の日本人に汽車に関する知識が欠けていたのと同様、今のアフリカには医療に対する知識が欠けている(当然だと思うが)。だから、感染を食い止められない。医療をはじめ、先進国としての常識をいかに植え付けていくのか。これが本当のところ、先進国の日本としてなすべき役割だろう。
このように考えると、アフリカに対して最初になすべきことは、工場を建てることでも、道路を作ることでもない。アフリカ経済の持続的発展を期待するのなら、教育が一番重要である。その教育のために、産業を興すことが必要となる(収入がなければ教育に資金を投入できない)。また、道路の整備も必要となる(道路がなければ学校に通えない)。以上の発想に基づき、日本政府はアフリカ経済のために尽力すべきである。
当面の事態に関して、日本人の医療関係者が働いていることが報じられていた。日本政府は、このような命がけの尽力に対して最高の敬意を尽くすべきである。それとも、総理か厚労大臣が西アフリカの現場を視察に行くのだろうか。行けば大したものなのだが。
そういえば今日の夕方、京都市役所付近を歩いていると、まだ薄明るい空をコウモリが飛んでいた。このコウモリの仲間がエボラを運んでいるなんてと思い、東京は広尾でよく見かけた飛翔姿を眺めていた。

2014/08/13


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