川北英隆のブログ

御嶽山の噴火再考

明日で御嶽山の噴火から1ヵ月だそうだ。新幹線で名古屋付近を通る時、御嶽山の方向に目をやるが、噴火以降、姿を見たことがない。晴れていても霞んでいるため、名古屋付近からは見えない。
その御嶽山に登ったのは1976年10月10日だった。社会人になって2年半、東京勤務になる半年前だった。10月10日は晴れの特異日であり、当時は体育の日として決まって休みだったので、紅葉を目的に登った。夜行列車を使って麓の駅(上松か木曽福島か覚えていない)まで行き、バスを使って登ったと思う。最初、天気は良かったものの、山頂の手前で霧になった。かなり濡れて北東側、濁河温泉に下り、そこで宿泊したことを覚えている。天気が悪かったこともあり、山頂部の歩きは長かった。
その3年後、1979年10月28日に御嶽山が長い眠りから覚めたように噴火した。雪をかぶった山に噴煙が上がった様子を、テレビが映し出していた。それまでも、阿蘇や霧島などの火山に登っていたが、火山活動があることを承知で登っていた。それに対し、当時の御嶽山は休火山と位置づけられていたこともあり、すぐ後に噴火するとはまったく思っていなかっただけに、僕にとってかなり衝撃的だった。
今回の噴火は、活動中のものである。まず、この点に十分注意を払っておくべきだった。とはいえ、噴火の予知はされていなかった。僕自身、登っていたかもしれない。
実際に御嶽山に登り、噴火口の近くにいると、どんな対応も大きな効果を期待できなかったに違いない。ガスと灰を避けるために口や目をふさぎ、噴石から身を守るために岩陰に隠れるのが唯一の対応だろう。後は運次第である。
事前の対応として、火口に近い付近では長居を避けることだと思う。ゆっくりと弁当を食べるのは、火口を離れてからにすべきだろう。もう1つは、万が一の場合に備え、逃げ道と身を隠す場所とを確認しておくことである。それが大きな効果をもたらすかどうかはともかく、数%程度、生存確率を上げることは確かだと思う。
以上が今回の噴火から得た教訓である。

2014/10/26


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