川北英隆のブログ

香炉峰と自褒めと時代への不安

2/1に香炉峰の雪を登場させ、この土曜日の大機小機を見て驚いた。そこに香炉峰の雪があったので。この有名な清少納言のネタを忘れていたとしても、ネットで調べれば、自慢話だとすぐにわかる。
大機小機では清少納言の自慢を「われぼめ(我褒め)」としている。辞書にも乗っている単語だが、最近の流行りに「自撮り」があるのなら「自褒め」でもいいように思う。
それはともあれ、日本が素晴らしい国だ、日本の技術は世界を席巻する、日本人は優れているとの論調を最近よく見聞きするにつけ、第二次大戦時の軍部のスローガン、「神国日本」「神州不滅」を思い出さずにはいられない。年齢的に軍から直接聞いたことはないし、学校で習うわけもないのだが、父親が戦友を招いて飲んでいる時に聞かされ、記憶に残っているのだろう。
日本はいい国だと思う。水と緑の豊かな風土、春と秋のある季節の変化、人種の均一性の高さなど、海外に行くと日本の特異さを感じずにはいられない。しかし、これらは長所でもあると同時に短所でもある。
もともと豊かな国が本当に豊かな時代を迎えたからだろう、日本人の覇気のなさには眼を見張るばかりである。昔の大阪人には、善悪はともかく、覇気があったと思う。多くの商人は大阪をはじめとして関西が発祥の地である。しかし、均一な教育とルールが行き渡り、人種の均一性も影響したのだろう、多くの大会社が「マニュアル重視」「ルール重視」の役所と化した。マニュアルやルールの合理性、それらが生まれた背景を検証することなく、それらをただただ押しいただくのである。
この覇気のなさが昂じると、かつてのように軍部の言いなり、政府の言いなりが生じかねない。何回か書いたと思うが(また講演でも喋っているが)、政府は「世界に冠たる日本を作るため」との名目で、大会社にいろいろと無理難題を命令するようになった。それに対する大会社の反論、自己主張があまり聞こえてこない。会社はもっと自由に行動していいはずなのに。
卑下しすぎるのは良くないが、自惚れるのはもっと良くない。人間の能力の差なんて大したことはない。天才はいるのかもしれないが、凡人と秀才の差なんて、爪の先ほどだと思って間違いない。人種の能力の差も、その程度である。食べ物の(イギリス人以外の誰が食べても)不味いイギリスが、片方で美味いビールとウィスキーを醸造、蒸留するくらいだから。

2015/02/15


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