川北英隆のブログ

行きつけの焼鳥屋の世代交代

焼鳥屋といっても夜にいくわけでない。東京で昼飯を食べないといけないとき、比較的よく行く店であり、夜は機会がない。その店では「きじ重」をよく注文する。昼飯として好きなので。
場所は茅場町、東京での用事が集中する街であり、そこには庶民的な店が多い。大学教員になってから13年近く経過したが、当初から通っていると思う。
実のところ、きじ重を食べたのは東京に来てからである。大阪での会社員生活は3年しかなかった(3年いたというべきか)。その間はもちろん、東京に出稼ぎに来てからも8年近く食べたことがなかった。そもそも、そんなメニューを知らなかった。
それが、大和証券に半年間、「研修」目的で派遣され、遊ばせてもらった時に(1984年だったか)、同じような研修生と昼飯をどこで食べるのかが問題になった。大和証券の本店が日本橋の近く(正確には呉服橋)にあったので、暇に任せて日本橋界隈に出かけ、きじ重を初めて食べた。それ以降、きじ重のファンになった。下町なのだろう、日本橋近辺のきじ重は美味い。
それでよく行く店の話に戻ると(読者とばったり会うと困るので、名前は言わない)、昼は混んでいる。誰にとっても美味いのだろう。かつてはその店の鰻も美味かったのだが、ここ数年、高くなったのでたまにしか食べない。
で、10年以上通っていると、店の風景が変わってきた。昼に流行っていることに変わりないのだが、多分かつて店を仕切っていた大将(東京で言う親父)の息子と思えるのが、数年前から店に入り、ついに先日は前面に出てきた。もう少し言うと、これまでは親子丼の調理係だったのに、先日はメインのきじを焼いていた。代わって、かつての大将が丼の係になっていた。
それとレジも若い女性になった。前のレジの女性は調理の補助に後退した。若手が夫婦で主役になったのかもしれない。
時間の流れはすごいと思う。思うに、老人に鞭打ち働かそうという政府の政策構想は馬鹿げている。働きたければ働けばいいのであって、僕のように働きたくない者まで働かせようなんて、国民を奴隷扱いしているとしか思えない。その点、焼鳥屋の世代交代は気持ちよく進んでいる。

2015/10/21


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