川北英隆のブログ

経常利益率に関する記事の疑問

昨日、日経の朝刊1面ら「上場企業 利益率最高に」「採算重視に転換」という記事があった。利益率とは何かを記事から読み取ると、売上高経常利益率だった。この率で採算を議論するのは変である。
もちろん、経常利益率であれ何であれ、利益率が高まることは企業にとっていいことである。しかし、採算性を議論するのであれば、営業利益率を用いるべきである。
というのも、経常利益は、事業活動によって生み出された利益だけではなく、利息の受け取りと支払い、配当の受け取りを加味した利益である。これらの金利収支や配当は、企業本来の事業がどの程度儲かっているのかを見るには余計であり、雑音である。
少し見方を変えると、内部留保を積み増して借金を返済したり、外部から受け取る配当が増えたりすると、売上高が変わらないとしても、売上高経常利益率が高くなってしまう。このため、売上高経常利益率を見ているだけでは、それが、記事にあるように採算重視の結果なのか、採算は変化していないものの財務的な経費が減った(もしくは利益が増えた)からなのか、判断できない。
会社情報では営業利益の予想まで掲載されている。昨日の新聞のデータは会社情報のベースとなるものだろうから、営業利益の数値も把握しているはずだと思える。そうだとすれば、営業利益ベースで上場企業の利益率がどう推移してきたのかを示してほしいものだ。

2015/11/18


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