川北英隆のブログ

組織のクセが繰り返される理由

企業もそうだし国家もそうだが、それぞれ特色がある。その特色は生半可なことでは消えない。アナリスト時代の調査対象企業もそうだし、国も同じ。そう思ったのは今回のロシアとトルコの問題である。
ロシアの爆撃機がトルコの戦闘機に撃墜された。どちらの言い分が正しいのか(ロシア機が国境を越えたのか、トルコがシリア側にいた爆撃機を狙ったのか)は不明ながら、ロシアはそういう国という気がする。そういう国とは、クリミア半島のことをイメージしているし、北方領土もそうであるが、拡張することが正義という意味である。現代風に言えば、国際法上の秩序のぎりぎりを狙ってくる。このことの善悪を評価しているわけではないので、この評価視点をロシア人の皆さんには是非とも理解してもらいたい。
国民性とまでは言わないが、ロシアの伝統があるのだろう。拡大主義をとらない政治家は意気地なし、臆病者、無能と見なされるに違いない。このロシアに近い国が中国だろう。歴史をひもとき、元々の中国というか漢民族の国土と今の中国国境とを比べてみると、このように感じる。中国は偉大な国であり、漢字一つとってみても、その影響を日本も韓国もベトナムも受けている。自他ともに認める偉大な国であるが故に、周辺国はひれ伏して当然ということなのだろうか。そうだからといって、日本も韓国もベトナムも中国のものだと言われると困るのだが。
会社も同じである。文化というか伝統というか、企業独自の考え方とやり方がある。この結果、株式投資家から評価してみると、ダメ企業はダメ企業のままであることが多い。そもそも技術力がないわけではないのに、それを活かせていない。やがてもともとの技術も衰退し、ダメ企業の二乗になっていく。
国にせよ、企業にせよ、どこかで歯車が狂うと(明治維新後の日本がそうだと思うが)、狂いっぱなしになり、破局を迎えかねない。狂った歯車の回転を逆向きに変える必要がある。日本の場合は、破局まで行き、敗戦という結果が歯車の回転を変えた。企業の場合であれば、破天荒な経営者の登場というわけか。意外に今の若い世代が年寄りを無視し、突き進むのかもしれない。そんな秩序破りに期待したいものだ。

2015/11/25


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