川北英隆のブログ

日本の過疎問題は予想以上-1

九州は薩摩地方に行くチャンスがあった。優良企業の主力工場の見学とディスカッションのためである。当然、ついでだからと、輝く株を探すために鹿児島の西部を中心に小旅行してみた。
まず驚くのは交通の便の悪さである。鉄道は廃止された線が多い。今回、加世田と宮之城で鉄道記念施設的なものを見た。ミャンマーのモーラミャイン郊外で展示してあった蒸気機関車の写真をアップしたが、それと似たようなものである。
「加世田ってどこや」というと枕崎の北である。かつて、鹿児島本線の伊集院から加世田を経由し、枕崎まで鉄道が通っていた。薩摩半島を鉄道で一周できたわけだ。鹿児島交通の鉄道だったとある。1984年に廃止になったらしい。
宮之城は原発で有名になった川内の東、鶴で有名な出水の南である。川内から宮之城を経由し、出水の東の大口、さらには水俣まで国鉄の線路があった。民営化の直前、1987年に廃止になったらしい。
それらの町には、今はバスで行くしかない。飛行場からのバスはともかく、最寄りのJRの駅から行こうとすると、ネットを使ってバスの時刻表を検索するか(これが結構難しい)、直接バス会社に聞くしかない。
しかも、加世田にしろ宮之城にしろ、その地方では中心の町である。旅行者がさらに奥に行くにはタクシーしかないに等しい。地元の人は、道が狭いことと、小回りのことを考えているのだろう、軽自動車の割合が非常に多い。
そのタクシーでえらい目にあった。というのも、運ちゃんが新米で、パッドを取り出してナビをしてくれと言われるし(ナビは得意だが)、挙句の果てには途中で車が止まってしまった。クラッチ板が摩耗して、エンジンの動力が伝わらなくなったようだ。止まる少し前、坂の上りでウンウン唸る割りには走らなくなっていた。坂を下り、平地を進もうとして完全に停止したわけだ。1965年頃、父親の車で一度経験している。時代が逆行したと錯覚しそうになってしまった。そんな整備の悪いオンボロ車がよく走っているものだと。
止まったのは、目的地まで残り3キロ程度の地点だった。料金を100%払い(つまりナビ代はもらわず)、後は歩くことにした。と、運ちゃんが「この車、どうなるの」とつぶやくものだから、「(持っている携帯で)そら同僚に連絡するしかないのでは」と、車を降りた。

2016/02/12


トップへ戻る