川北英隆のブログ

株式投資は値上がりしてなんぼ

何のために株式投資をするのか。現在、平均で1.9%ある配当なのか。桐谷さんのような株主優待なのか。2つとも、ついでであるのならともかく、そもそもそれを狙うのなら間違っている。
株式投資の本命は、あくまでも値上がり益である。反面教師を出しておこう。電力株であり、電鉄株である。
電力会社は安定的に50円配当をしていた。日本生命も大量に保有していた。しかし、東電の原発事故ですべてが吹き飛んだ。もう少し歴史を遡ると、1970年代中盤までの高度成長期、電力会社は成長をし、株主割当増資を行っていた。これらによって株主は安定的な配当と、実質的な値上がり益を稼ぐことができた。つまり、高度成長期にはキャピタルゲインもインカムゲインも得られたわけだ。
電鉄(私鉄)株もほぼ同様、高度成長期にはキャピタルゲインもインカムゲインも得られた。加えて、無料優待パス(乗り放題の券)がもらえ、これが個人投資家には魅力だった。しかし、高度成長が終わると株価は上がらなくなった。安定的な配当でさえ払えなくなった電鉄会社も出現した。
株式は、企業が儲けなければ配当でさえ支払えなくなる。儲かるには、経済全体の発展が重要な条件となる。この点、今の日本経済は経済発展の条件を十分には満たしていない。
とすれば、特定の領域で優位性を発揮できる企業しか国内では利益を得られない。もしくは、海外に事業展開するしかない。これらの選択肢がないとすれば(もしくは選択しないとすれば)、(かつての電力ガス会社のように)規制によって独占権を得ていないかぎり、現状にあぐらを組んだ企業はやがて衰退していく。安定的な配当が約束されなければ、それを見越して株価はさっさと下落する。当面のインカムゲインを、マイナスのキャピタルゲインが食ってしまうわけだ。
個人投資家にとって理想的な企業とは、緩やかでもいいから成長をし、それによって株価の上昇を実現しながら、片方で安定的に配当を支払ってくれるものだろう。ついでに株主優待があればなお結構という程度か。もう少しプロ的には、配当なんて投資収益の一部でしかない、無配でもいいから成長して株価が上がれば他に何もいらないことだろうが。

2016/09/03


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