川北英隆のブログ

大津という街の両極端

知り合いのST氏が日本オペラ振興会の理事長をしている。この組織には藤原歌劇団があり、オペラを公演している。オペラなんて僕にはほとんど関係のない世界だったのだが、その友人に誘われ、大津での公演を見に行った。
オペラの話は次の機会に書くとして、公演はびわ湖ホールで催された。「そんなん、あるんや」「で、どこに」と思う。
ネットで調べるとびわ湖の湖岸にある。JRの大津駅ら歩いて20分くらいだろうか。いざとなればタクシーに乗っても怒られない距離である。
大津駅に下りたところ、日曜日にもかかわらず(それとも日曜日だったから)、閑散としていた。県庁所在地の駅にしては、あまりにも田舎の駅である。北口に出ると、びわ湖に向かって下る広い通りがある。しかし、どこがポイントなのか不明な通りだった。坂を下り、京阪電鉄の石山線を横切り、びわ湖の湖畔に出る。左手には大津港があり、その奥には滋賀銀行の本店(そうだと思う)の大きな建物もある。多分、この周辺が大津の中心部なのだろうと想像する。
公演が終わり、その後の飲み会まで時間があったので大津の街を散策してみた。
まずは大津港である。この付近は公園になっていて、歩くと気持ちがいい。湖に向かって左手には比叡山と比良山が大きい。比叡山には、お寺とは思えない明るい照明がある。秋なのでライトアップしているのか。右手には富士山形をした三上山と、まさに鶴が羽を広げる形の鶴翼山、その奥に大きな伊吹山が見える。湖の上に煙がたなびいているように思ったので目を凝らすと、カモの群れが比良山を目指して飛んでいた。
そんな素晴らしい景色とは対象的に、いくら歩いても街中は寂れた感じである。ようやくアーケード街を見つけたのだが、まだ夕方の6時だというのに、ほぼすべての店のシャッターが下りていた。
と、向こうからどこかで見かけた人物が歩いてきた。大学の同僚HKさんだった。「思わぬ所で会うけど、どうしたの」とお互いにハモりながら尋ねた。お互い、オペラを見ていた。その後、お互い、大津の街を探索していたらしい。Hさんが言うには、大津駅は県庁所在地の駅として日本一寂れているそうだ。それと、新幹線の通っている府県の県庁所在地として、唯一、新幹線駅がないとか。最後に、「このアーケード街が大津のメインの商店街とは」と再びハモった。
大津、景色の素晴らしさでは日本で有数だろう。びわ湖ホールもよくできていた。それなのに街としてはどうなのか。不思議な大津だった。

2016/10/24


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