川北英隆のブログ

日本人は現金が好きか

ネットのニュースを見ていたら「日本人、支払いは現金選好 カード保有は高水準」というロイターの記事があった。この記事は、日銀「BIS決済統計からみた日本のリテール・大口資金決済システムの特徴」に基づく。
それによると、現金残高(企業、家計、銀行などにある現金の金額と名目GDPの比率)は日本が19.4%とトップ、それに対して最下位のスウェーデンは1.7%とある。比較の対象は、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、中国、ユーロ圏、フランス、ドイツ、香港、インド、イタリア、日本、韓国、メキシコ、オランダ、ロシア、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国である(ユーロ圏とありながら、ドイツやフランスなどが入っているのは「何でや」と思うが)。
要するに、日本の家には現金が溢れているというイメージか。「嘘やん」と思うが、世界の他の国の家には、日本ほど現金が転がっていないのも確からしい。泥棒に入るにしても、現金を狙うのではなく、宝石や貴金属ということになる。
しかも、日本では最高額紙幣(1万円札)の占める割合が圧倒的に高い。銀行に預金しても仕方ないので1万円札を貯めているのだろう(すぐにそう思ったし、日銀の説明にもあった)。それ以外に、泥棒が少ないこと、偽札が少ないことなども指摘されている。確かに、日本で1万円札を手渡しても疑われることはないが、外国ではそうはいかない。100ドル札を手渡すと、本当に透かしたりかざしたりされる。逆に、東南アジアでは高額のドル札が両替商で優遇されるが。
もう1つの日本の特徴は、クレジットカードなどのカード決済の割合(名目GDP比)が少ないことである。とはいえ、カードを持っていないわけではなく、1人が平均して持つ決済可能な(支払い可能な)カードの枚数は7.7枚に達する。シンガポールに次いで多いらしい。ちなみに僕は、平均より少ないと思う(使っていないカードが多いので、何を持っているのか即答できないが)。
カード決済を分けてみると、日本での電子マネー決済はイタリアに次いで2位、クレジットカードでの決済はヨーロッパ各国より多い、デビットカードはほとんどゼロに近く圧倒的に最下位である。
クレジットカードについては日本人の保有枚数が多いので、1枚当たりの使用額は多くはない。クレジットカードの保有枚数が多いのは、審査が厳しくないためとされる(極端な貧乏人が多くなく、多分、不正も相対的に少ないのだろう)。
デビットカードについては、そもそも「それって何や」と思える。クレジットカードとの違いは、デビットカードを使うと銀行預金から即時に引き落とされることにある。小切手の代替である。日本の場合、「で、小切手て何や」と再度質問されるかもしれない。
デビットカードの場合、支払いのための手数料率がクレジットカードと比べてどうなのかという問題はあるが、理屈からするとクレジットカードより安いはずである(銀行預金の範囲内でしか使えないから)。一方、手数料が安いとすると、業者が儲からない。だから積極的に宣伝されない。
よく見ると(カードの裏を見ると)、僕の某銀行の新しいキャッシャカードはデビットカードでもあった。とすれば、この1枚を加えて、僕のカード保有枚数が平均値近辺になるかも。ついでに、クレジットカードの代わりにデビットカードで決済できるかどうか試してみたくなった。店員から、「デビットカードって何ですか」と聞き返されるかもしれないかな。

2017/02/21


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