川北英隆のブログ

日本企業はもっと牙をむけ

梅棹忠夫さんの「もっと牙をむけ」で感じるもう1つは、日本企業の大人しさ、従順さ、覇気のなさである。これは日本人全体に言えることかもしれない。
これまで、日本企業に関してはさんざん言ってきた。サラリーマン経営者、社長が典型である。多くは守りに徹している。新しいことはお茶を濁す程度にしかやらない。
京都企業のオーナー経営者に言わせると、「日本のサラリーマン社長の任期は5年前後、それでは短すぎる、責任を取れないだろう」と。確かにそうである。しかし、サラリーマン社長の企業が大人しい理由は、この任期の短さだけではないだろう。
代々受け継いできた名門企業の伝統を、社長としての自分が壊したくないとの消極的姿勢が大きく影響しているように思えて仕方ない。東芝の事件を見るにつけ、この思いが強まる。同時に、顧問という影の力があり、革新的なことが難しい。役所もいろいろとうるさいだろう。
そもそも、日本の若い男に覇気がない。道をたらたらと、それも目先のスマホにばかり気を取られて歩いている。隙だらけである。これでは、周りを見渡し、そこから世の中の微妙な変化をつかみ取ることができないだろう。SNSのつまらない情報に踊らされる。
男と比べ、若い女のほうが元気なのだが、むしろ傍若無人と感じることの方が多い。これもまた周囲の動きを見ていない。
覇気があり、それでいて注意深さもある日本人がもっと多くいないと、世界の競争に圧倒的に負けるのではと心配になる。このような覇気のない世代が経営者になる時代に、日本の名門企業のうち何割が生き残っているのだろうか。
何て、「若者は・・」と批判することは、こっちが老人の域に入った証拠なのだが。って、今さら言うことでもないが。
「牙をむく」という言葉の本質は、既存の規制、ルール、理論、生活などを疑うことである。時代に合っていないと感じるのなら、役所の規制や暗黙のルールなどと戦うことを厭うてはならない。
僕がクロネコを好きだったのは、創業者が、規制にぬくぬくと包み込まれていた既得権益と戦ったからである。世界を見渡すと、アップル、グーグル、アマゾンなども戦ってきている。つまり牙をむいている。
日本の名門企業に牙をむいたところがどれだけあるのか。牙を抜かれてしまい、柔らかいペットフードを日本政府にねだっているだけではないかと思えてしまう。

2017/11/12


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