川北英隆のブログ

アセマネ会社の紺屋の白袴

今日、某所で議論していると、アセットマネジメント会社の悪口、日本企業の悪口が出てきた。悪口というよりも、「他人のことはともかく、自分はどうなっているんや」に近い。
投資信託や年金ファンドの資金運用の委託を受けているアセットマネジメント会社には、国からの(実態はともかく)ふわっとした要請なのだが、上場企業の経営に関して議論すべきだとの下知がある。いわゆるスチュワードシップ・コード(資金運用の受託者責任に関する原則)である。
例示すれば、経営体制がどうなっているのか、独立した経営がなされているのか(たとえば、社長を始めとする経営者の利益を最優先していないのか、親会社があったとしてその親会社の利益を最優先していないのか)、経営方針やリスクに関して最善を尽くした議論がなされているのか等である。また、部門ごと、それを合算した企業全体としての利益率(たとえば、流行りのROE)を計測し、その計測結果に基づいて、事業の統廃合や新規投資が合理的に行われているのかどうかである。
今日の議論とは、アセットマネジメント会社が上場企業と、以上について議論するのはいいとして、ではアセットマネジメント会社の経営がどうなのかという疑問が出発点となっていた。
日本のアセットマネジメント会社には銀行、証券、保険会社の系列(子会社)が多いが、ではそのアセットマネジメント会社自身、親会社から独立した経営を行い、顧客利益を最優先しているのかどうかである。また、公的年金、とくに厚生年金に関する受託手数料率が極端に安いのだが、そんな採算割れの運用を受託することが他の委託者(企業年金や投資信託)の利益を犠牲にしていないのかどうかである。
日本企業の特性として、女将違うか、お上の命令には従うが、自分で考えることを積極的に行わない。もしくは言われたことだけは考えるが、それが影響を及ぼす他の領域のことは考えない。この結果、部分最適にはなるものの、全体としては矛盾だらけのことをやってしまう。
好例は、関西人にはちんぷんかんぷんかもしれないが、川崎市の武蔵小杉に高層マンション群が建てられ、地方自治体の望み通りに人口が増えたのはいいのだが、JR武蔵小杉駅の利用者が増えすぎ、電車に乗るのはおろか、駅に入場するのも大変になっているとか。
官僚的に自分の庭先だけを考えず、視野を広く持つことが重要である。とはいえ、そんな広い発想をできる人材が枯渇しつつあるのではないか。要領の良さだけを考えると、視野を狭くしておくのがコツだし。

2018/12/19


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