川北英隆のブログ

政府要人発言と国民皆兵思考

日本女子水泳界のエースが白血病だと報じられた。「どうしたんやろ」と思っていたら、そのすぐ後、桜田とかいう五輪担当大臣が「本当にがっかり」と発言したため、批判が殺到したとか。問題の本質はもっと根深く、国民を兵隊だと思っているようだ。
「国民が兵隊」、「自分たちがそれを操る大将」という感覚は、今の安倍内閣の政策や方針に見え隠れしている。
1つは定年延長の政策である。僕は、65歳で公的年金をもらえるようになった後も働くことに反対ではない。好きなようにするのが人生である。働いて健康を維持できるのであれば、それが正解である。問題は、すべての国民にそれを適用しようという感覚である。
今の内閣にとっての定年延長の政策は、労働力不足から発している。公的年金の財源不足もある。これらを一挙解決できそうな政策が定年延長である。国民の幸福とは何かを考えた結果の発想ではない。
企業にとっても、政府による一律の定年延長の要請はありがたい話でないはずだが、反対の声はあまり聞こえてこない。マスコミが政府を向いていて、反対をあまり取り上げないのかもしれないが。
何が企業にとって不利益なのか。それは老人の手を借りたい仕事がそんなに多いとは思えないからである。経験からして、技術革新についていけない老人を雇用してどうするのか。といって、体を使う仕事を十分にこなしてくれるわけでもないし、不注意や記憶違いによる事故が増えることも当然である。企業が雇いたい老人は一握りでしかない。
もう1つは公的年金の支給開始年齢の後倒しである。結果として、支給総額の削減が見え隠れしていて、定年延長と表裏一体である。老後も働かせるため、公的年金削減を試みようとしているのだろう。
僕自身、公的年金の水準削減に反対ではない。その方がすっきりすると思っている。肝要なのは、「これだけの年金水準を絶対に確保する」との政府の保証であり、覚悟である。その約束された公的年金水準が今よりも相当低いのは仕方ないだろう。
残念ながら、これまでの公的年金は削減に次ぐ削減の歴史であり、その削減が遡及適用されてきたし、削減に対して誰も責任を負わなかった。要するに、公的年金は逃げ水というか、馬に人参というか、見せ金というか、そういうものだった。今でも状況に変化ないから、誰もが公的年金を信じず、むしろリスクの大きい資産としか認識してこなかった。このため、自助努力というので、安全資産である銀行預金やタンス預金に頼ってきた。
ついでに書けば、人生100年時代、老後のことを考えろといいながら、賭場としての競馬や競輪などに加え、カジノを作ろうというのは矛盾である。人生100年を満足に過ごそうとすれば、賭場に意識を向けさせる政策なんてありえない。政府が賭場を開帳し、兵隊である国民から金をかき集めようとの政策としか思えない。
そんな、国民を兵隊扱いする意識が、つい五輪担当大臣の言葉の端に出たのだろう。「こんなとこで病気になるなんて、弛んでる」というわけだ。「話しの全体を聞いたら、誠意がある」との評価もあるらしいのだが、誠意があるのなら、「本当にがっかり」なんて言いっこない。

2019/02/22


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