川北英隆のブログ

政府上滑りのキャッシュレス

政府がキャッシュレスを叫び続けている。それに悪乗りして、札のデザイン一新を機に古い札の流通を停止してはどうか(ただの紙切れにせよ)との意見もある。一方、日本社会をキャッシュレス化するには足りないものがあるとの感を、僕自身は深めている。
京都の飲食では老舗ほど気をつけろと、何回も書いた。クレジットカードが使えない店は数えきれない。これが京都の特徴なのかなと思っていたところ、伊勢旅行で認識を新たにした。
どういうことか。京都と同様、伊勢の老舗でもクレジットカードが使えなかった。伝統により、税金に対して敏感なのだと思わざるをえない。前にも書いたと思うので、現金払いと税金との深い関係を是非とも思い浮かべてもらいたい。サラリーマンには常識化してないかもしれないが。
もう1つ、コンビニで買い物をするたびに思うのだが、レジに並ぶ度、財布から小銭をきっちり出して支払おうという客が多い。男でもいる。
何故、小銭を使い、財布を軽くすることに神経を使うのか。要するに、スイカやイコカの類のカードを保有していないようだ。
前にも書いたように、最高のキャッシュレスはスイカやイコカのようなFeliCa(フェリカ、ICカード用の技術)である。自動改札機も、コンビニなどでの支払いも、FeliCaを内蔵したカードをかざすだけで済んでしまう。流行りのQRコードよりも正確であり、迅速である。また、クレジットカードも、最近のものはICチップが内蔵されているので、少額の支払い時に暗証番号だけで使える。
もう1つの理由は、銀行ATMの利用方法に思いが至っていないからだろう。最近、(僕の場合は)スイカを使うことが多いし、それを使える店も増えているので、1円玉が以前ほど貯まらなくなった。それでも、10円玉や100円玉がどうしても貯まる。それを処分するため(ゴミ箱に捨てるわけにもいかないので)、銀行のATMに放り込んでいる。
近くに銀行のある生活の場合、銀行は小銭の墓場というと問題か、小銭の保育園である。そこに預ければ、やがて札になって引き取れる。
いずれにせよ、日本をキャッシュレス社会にするには、解決すべき課題が多い。
最初に述べたように、最大の課題が納税意識である。そんなもの、どうにもこうにも育めないのなら、政府として、収入の捕捉率を高めないといけない。デジタル化の一番後尾に着け、ひょっとしたら周回遅れなのが日本の徴税技術だろう。
さらに、新しいものが素晴らしいわけでもないと、認識を新たにすべきである。かなり過去からあるFeliCaがその好例だろう。しかもFeliCaは日本発の技術である。思うに、議員や高級役人、自分でコンビニに買い物に行かないし、通勤は車だろうから、スイカやイコカなんて知らないのかも。

2019/05/14


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