川北英隆のブログ

贔屓の店は現金払いにかぎる

人間を70年近くやっていると、贔屓の料理店ができても不思議ではない。今の僕の場合、東京に4店、横浜に1店だろうか。京都にもあるのだが、状況が違う。何のこっちゃ。
何かと言うと、クレジットカードを受け取ってくれるかどうかである。知るかぎり、東京の贔屓の店はクレジットカードが効く。「現金でお願いしとりやす(関西の標準語かな)」と断る店に出会ったことがない。関東では日本政府のお達しが効力を発揮しているようだ。一方、関西はというと、そこまで従順でない。
カードで受け取れば、その手数料が必要となる。だから、現金と同じ金額では店側が損をする。と、カード払いを前提とした値段が付けられる。こう考えると、カード払い(キャッシュレス)は「物価上昇」につながる。消費者として喜んでいいのかどうか。
単純にわかることながら、値上がりした分はカード会社の収益となる。個人に入るのはカード会社の一部分の還元、ポイントである。キャッシュレス、個人にとっての便益は手間がかからない程度であり、ポイントなんて「糞食らえ」でしかない。カード会社にとっては大いに喜ばしい。
こんなの、許していいのだろうか。僕は「その値段だからしゃあない」と時たま許すこともあるが、断固許さない場合も多い。
僕の贔屓の店、多くは新しい時代に適合できていない。料理は美味いのだが、頑固一筋でしかないし、店が持ち家だから、その賃料相当分を払う必要性がなく、その分だけ料理や酒代が安くなっているのだろう。
逆に言うと、高かろう不味かろう(これが言い過ぎだとすると、高かろう、普通やんか)の店をのさばらしてはいけない。そこで僕の場合、しょうもない、言い換えれば平凡な店は徹底してカード払いであり、贔屓の店では徹底して現金払いである。贔屓の店がカード利用率の上昇に並行して単価を上げたとしても、「それはしゃあない」、「少しでも利益を多めに挙げ、生き延びて欲しい」と思っている。
もっとも、ある店で、勘定の段階になって現金払いしたとしても、必ずしもその店を贔屓にしているのかどうかは怪しい。カードの持参を忘れてしまっているのか、カードの使い方を酔ったせいで忘れてしまったのか、いろんなケースを想定できる。
僕の結論は、キャッシュレス社会は政府かカード会社か銀行の陰謀だと思っている。もちろん、駅やコンビニなどでの小口決済はキャッシュレスが便利である。僕も多用している。これに対し、大口の決済は場合によるのではないだろうか。

2019/06/21


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