川北英隆のブログ

帯解に行こう

地名のクイズ、「帯解」を何と読むのか。多少ひねった読みで「おびとけ」である。変なことを想像し、帯解ではなく、帯解きに行こうと言うたらセクハラになる。この地名は奈良市にあり、天理市との市境に近い。実は皇室では非常に有名だと推察できる。
帯解とは、出産時の腹帯が無事に解けること、つまり無事に子供が生まれたことを意味する。そもそもは安産の帯解寺に由来する。地図で確認したところ、帯解町という地名はなく、あるのはJR西日本の桜井線の帯解という駅である。
奈良の次が京終、その次が帯解で、さらに次が櫟本である。読むのが難しい地名続きである。ついでにもっと横道に逸れておくと、京終は何て読むのか。南京終町という地名があり、「なんきんおわりまち」かなと思い、次に京終を読む段になると困ってしまうだろう。正解は「みなみきょうばて」であり「きょうばて」である。京都の「京極」と同じで、都の端っこという意味だろう。
帯解に戻ると、寺の周辺の町名(一番大きなのは今市かな)が駅名にならなかったのは、鉄道ができた頃、帯解が圧倒的に有名だったからだろう。
何故、帯解寺が有名なのか。ネットで調べればすぐに判明するように、皇室御用達、江戸時代には徳川家御用達でもあった安産の寺だからである。
寺のHPによると、美智子さん(上皇后か)、紀子さん、雅子さん(皇后)の安産祈願のことが書いてある。本人達が実際に帯解に来たのかどうかは不明だが。
さらには、帯解駅からは崇道天皇陵と円照寺が近い。円照寺は山村御殿とも呼ばれ、尼寺である。皇女などが門跡を務めるとされるが、今がどうなのか、僕は知らない。
帯解と円照寺は三島由紀夫の小説にも登場する。さらに奥には、正暦寺という紅葉の見事な寺がある。若葉も素晴らしい。清酒が初めて醸造された地とされ(真偽は不明)、大人も喜べる。
このように奈良には隠れた、玄人好みの、新型コロナウイルスから隔離された名所があるはず。「帯解に行こう」となる。
この話、昨夕、元のゼミ生が京都にやってきたので、西木屋町でおばんざい類を突きながら、向かいの大将に聞こえるように少し大きめに話した題材である。大将、少し耳が遠いからそうしたのだが。京都で奈良自慢、ええやんか。

2020/01/23


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