川北英隆のブログ

鈴鹿山脈の南端を歩く

関ヶ原から南に連なる鈴鹿の、その南端を歩いた。伊吹山から北は伊吹山地と呼ばれる。伊吹が街道から目立つ名山だからだろう。伊吹の南に山地が続くが、こちらは鈴鹿山脈である。伊吹の向かいの霊仙山も、その南も、鈴鹿北部は石灰岩の山で、伊吹と同じなのだが。
では鈴鹿の南端とはどこなのか。昔、東海道が越えていた(今は国道1号線のトンネルがある)鈴鹿峠が南端に近い。今回、その鈴鹿峠には行かなかったが、その西南西から山脈の南端へと歩いた。近江、伊賀、伊勢の境付近に相当する。近江よりも甲賀と言ったほうがぴったりかもしれないが。
京都から東海道線で草津に出て、そこで草津線に乗り換え、甲賀(「こうが」ではなく「こうか」と読む)で降りた。駅からコミュニティバスを使って大原ダム(貯水池)まで行く。
ここから先は歩きである。林道を登り、坂下峠に出る。峠から、北側にある高畑山(773メートル)を往復、坂下峠に戻り、南側の那須ヶ原山(800メートル)、三国岳(720メートル)、油日岳(693メートル)を歩き、草津線の油日駅で草津線に乗った。
こう書くと、700メートル級の山を歩くだけだから、大した山歩きではないと思えてしまう。実際、僕もそう思って歩いたのだが、本当は大違いだった。
山全体が花崗岩質、所々に岩場があり、登山道もザレている(花崗岩質の、小豆をひと回り小さくした石ころが多くて、滑りやすい)。道の両側が崩れて痩せた部分も多い。坂下峠から油日岳までは、地形図では読みとれない、こんな小さなアップダウンが連続していた。
想定以上の体力を使い、しかも水を1リットルしか持っていなかったことも加わって、予定をはるかに超える時間がかかった。日没の遅い時期だから、それでも余裕を持って日の高いうちに油日駅に着いたのだが、秋だったら焦ったことだろう。
とはいえ、低い山ながら、植生は豊かで、花が多かった。ホトトギスもしきりと鳴いていた。また行きたくなる山域である。交通の便が悪いから、それがバリアとなり、登山者が少ないのだろうが。
写真は起点となった坂下峠である。かつての宿場町、坂下(阪之下)の名から来ている。その坂下、江戸時代は鈴鹿峠越えで栄えたが、今は過疎らしい。
20200604坂下峠.jpg

2020/06/04


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