川北英隆のブログ

株式に投資するには

株式投資は儲からないのか。会津磐梯山の小原庄助さんではないが、株式に手を出したら身上(しんしょう)を潰すのだろうか。簡潔に結論から書けば、「(同じペースト状ながら)味噌もクソも一緒にしたらあかん」。
昨日(11/6)の日本の株式市場、日経新聞によけば「日経平均 25年ぶり高値」とある。引け値が24325円と、91年11月13日の24176円を上回った。
振り返っておくと、91年11月に25000円台から始まった株価だが、80年代後半のバブルが崩壊する最中にあり、その少し後に2万円割れまで低下し、09年2月には8076円の最安値まで下がった。
それが11年少しをかけて安値の3倍を超えるまでに回復したことになる。次は日経平均株価の最高値、89年12月末の38915円か。まだまだ遠いが。
ここで株式市場への関心が高く、記憶がよければ、アベノミクスの直前がバブル崩壊後の株価の最安値ではとの疑問が出てくるかも。実は日経新聞、東証株価指数(TOPIX)をある意味で邪険に扱っているから、昨日の紙面にはTOPIXがどうなったのかは何もない。
ついでに書くと、あまりマジになってさがしたことはないが、日経新聞のネット版ではTOPIXが出てこない。東証のページに日経平均株価がちゃんと示されているのとは大差である。さすがに紙面には、活字のポイントは小さいながらも、示されている。
記憶に戻ると、TOPIXのバブル崩壊後の最安値は2012年6月の695.51である。日経平均株価とTOPIXは、どうもタイミングが大きくずれている。
実はタイミングだけでなく、最近では値上がり率も相当異なる。11/6のTOPIXは1658.49であり、昨年12月の高値も抜けていないし、18年1月の高値1911.07から遠い。
日経平均株価とTOPIXの比率(日経平均株価/TOPIX)で確認するのが一番手っ取り早いだろう。一般的なイメージとしては10倍程度だろうか。
計算すると、リーマンショックの直前である08/8末は10.42倍だった。それが、アベノミクスが始まった12/12末には12.09倍に広がり、コロナショックの直前19/12末は13.74倍、昨日は14.66倍である。08/8末からの12年2ヶ月で、40%ほどの差がついた。年間約3%の差である。
言い換えれば、TOPIXに投資する代わりに、日経平均株価に投資しておけば、年間3%ずつ余計に稼げたことになる。ETF(上場投資信託)があるから、現実的な差である。
この差をもたらしたのは、日経平均株価が企業を厳選しているからである。東証第1部上場企業約2200社の中の225社で日経平均株価は計算されている。しかも、批判もあるのだが、特定の企業のウエイトが極端に高い。ファーストリテイリング(ユニクロ)11.2%、ソフトバンクグループ6.0%、東京エレクトロン4.3%がウエイトの高い上位3社で、これにファナック、ダイキン、エムスリー、KDDI、テルモ、信越化学と続く。
次のサイト(日経のサイトではない)に詳細がある。https://nikkei225jp.com/nikkei/
以上の9社がウエイト2%以上の企業であり、これだけで日経平均株価の38.2%を占める。つまり、225社のうちの9社が値上がりするかどうかによって、日経平均株価の運命が決まりかねない。とはいえ、これらの企業の生きがずっといいものだから、この12年間、TOPIXよりも値上がり率が高かったのである。
サラリーマンを本業とする個人投資家への結論として、1つ言えるのは、株式投資をするには企業を選ばないといけないことである。上場企業であれば何でもいいわけでない。息絶え絶えの企業もあれば、立派な企業もある。とくに変化の激しい時代だから、企業を選ぶことが絶対条件となる。
もう1つは、今日明日の儲けを狙ってはいけない。短期投資は駄目である。この点は以前に書いたから、繰り返さない。さらに言うと、今日明日の儲けを狙うための信用取引に手を出してはいけない。それこそ小原庄助さんになる。

2020/11/07


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