川北英隆のブログ

東京エレクトロン東哲郎さん

日経の名物コラム、「私の履歴書」に東哲郎さんが登場している。面白い経営者の一人だけに、毎日を楽しみにしている。
東さん、「ひがし」か「あずま(あづま)」か、関西人には難しい。どちらかというと関西では「あずま」が普通ではなかろうか。だから、東京エレクトロンの東さんを、よく「あずま」さんと呼んでしまった(幸いにも本人に向かってではなく、秘書とかの周囲の人に向かってだが)。川北を「北川」と呼ばれるようなものか。
それはともかく、4/7までの連載は、まだ僕がよく知らない東京エレクトロンの歴史の部分である。その中で、東さんの率直な、それでいて今の東京エレクトロンに反面教師として受け継がれているだろう日本企業への感想がある。
4/7には、「机に座っているだけで上司たちが高い給与をもらっていた」「技術で顧客に貢献し、結果として利益を得る・・社員に報いることができ、納税につながる」と書いてある。4/6には、1つに群がる日本企業への疑問が書かれていた。
要するに、他人(他社)と違うことをやり、良いものを正当な値段で売り、利益を得て社員や社会に貢献する企業を理想とするものだ。連載のこれからがどうなるのかはともかく、東京エレクトロンが日本企業の中で特異であるのは確かである。
東さんに講演と講義を頼んだことがある。そのどちらだったかを忘れたが、「製品の利益率を上げることが目標であり、そのためにどうすればいいのか工夫している」との主旨を話されていた。その答えは、「顧客に喜んでもらうことだ、顧客のニーズを聞いて応えることだ」とも。
この答えだけですべてを語っているわけでない。たとえばニーズに応えるには技術力が必要になる。従業員にインセンティブを与えないといけない。その他、いろいろと組織としての仕組みを作らないといけない。これらを考えるのが経営者だろう。「顧客が一番重要」と話す経営者は多い。問題はその顧客本位をいかに具体化していくのかであり、顧客、従業員、株主、社会に貢献するかである。
東さんは東京エレクトロンの創業者ではない。しかし、「入社した頃の東京エレクトロンはベンチャー企業だった」とも話されていた。従業員として、「この企業をどう発展させるのか」を考えられたのだろう。当然、従業員にそれを考えさせた(考えるように仕向けた)当時の経営者も偉かったのだろう。

2021/04/08


トップへ戻る