川北英隆のブログ

城崎の来日岳は信仰の山

城崎に泊まったついでにと、裏山とも言うべき来日(くるひ)岳を周遊した。標高566.6メートル、一等三角点がある。背が低いと一瞬思うのだが、ほぼ標高ゼロメートル地点から登るわけなので、登り手がある。
泊まった翌日、朝飯の前に登ろうと考えた。夜明けは5時少し過ぎ、明るくなったと同時に出発すれば、朝食(8時)に戻れるはずと計算した。来日岳はハイキングコースになっているので、迷うような箇所はないはず。大体の所要時間が予想できる。結果はと言うと、2時間45分かかった。2時間30分を想定していたので、少し余分にかかった。
登山口は城崎町来日とした。城崎温泉から来日まで、1キロ程度車道を歩かないといけない。車が多く、歩道もなさそうだったので、早い時間に通過しようと思った次第である。車道は予想通りだった。一方、歩く時間帯の設定もばっちり、あまり危険を感じなかった。
城崎は円山川の河口にある。その円山川沿いの盆地が豊岡であり、最近ではコウノトリで売り出している。寒暖の差が大きいのだろう、最近の奈良や京都でほとんど見られなくなった霧が発生する。来日岳に登った当日も、川から霧が立ち上がり、頂上に着いた頃には雲海が広がっていた。最近有名になった朝来(あさご)の竹田城も、この円山川沿いにある。なんと、標高353メートルの城跡、平地から見ると高い山の上だ。
それはともかく、来日岳の東尾根の縁を過ぎ、その南にある来日に入る手前、右手に細い道がある。それに入り、山陰本線の線路をくぐる。1.6メートルの車高の車しか通れないとある。くぐると草の道になる。荒れ地からは蛙の声が聞こえ、時々キジが鳴いていた。すぐ右手に登山道の表示がある。獣避けを通り抜けると、小さな石仏が2体あった。
最初は暗い植林混じりの急登である。そのうち多少林は明るくなるが、急な登りに変化ない。点在する石仏が目先を変えてくれる。信仰の山である。
304メートルの標高点で明瞭な尾根になる。小さなピークを越えつつ、250メートルの鞍部に下り、そこから来日岳への登りが始まる。広葉樹林、ツバキも時々混じり、赤い大きな花がこぼれている。ツツドリが鳴く。山頂が木の間越しに見える箇所もある。
傾斜が緩み、木の背が低くなり、山頂に着く。アンテナ群が少しうるさいものの、木々が少ない。一等三角点を見守るように小さな石仏が並び、その向こう、北側に雲海が広がっていた。南側には日本海があった。
下りは城崎温泉への尾根に沿って下った。尾根は、北西、北、南南東と、時計回りに向きを変える。その尾根に沿って古びた車道が付けられていて、傾斜のある箇所はぐるっとカーブを描き、遠回りする。登山道はその遠回りをショートカットしている。
登山道にはたくさんのテープが貼られている。しかも、ハイキングコースといっても利用者が少ないようで、荒れてもいない。下り始め、イワカガミが多く、少し時期が早いのだが、シャクナゲも一株だけ咲いていた。
尾根が東を向き、その先、大師山の山頂(240メートル)でロープウェイの山頂駅に出る。温泉寺の奥の院でもある。そこから城崎温泉までの下山道を迷っていたが、ロープウェイに沿って温泉寺の参詣道が付けられているようので、それを下ることにした。
階段が多く、濡れている石段はスリップに注意なのだが、全体として整備されていた。中腹に本堂と多宝塔がある。紅葉の頃は見事かもしれない。そこから長い石段を下り、麓の薬師堂に出た。城崎温泉の町の外れでもある。
朝食の開始にジャストで間に合った。ただし、汗を温泉で流したため、結局のところは少し遅れた。
写真、上は来日岳山頂、下は山頂からの雲海である。
2021042来日岳山頂.jpg

20210421来日岳からの雲海.jpg

2021/04/21


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