川北英隆のブログ

ウルシに負ける

安房のジャングルでは、トゲのある木(タラノキ風だが、少し違っていた)とウルシ類が多かったと書いた。注意深く、時には登り口で拾った竹で横に除けながら歩いた。それでも数が多いものだから被害を受けてしまった。
トゲのある木だが、1回だけ、迂闊にもそれと知らずに掴んでしまった。おかげでトゲが刺さり、指先を少し切った。それ以外、手の甲に擦り傷が何箇所かあるのに帰ってから気づいた。
ウルシには久しぶりに負けた。大したことはないのだが、翌日になって手の甲に赤い斑点ができ、痒くなってきた。また上腕部にも痒い部分がある。半袖で歩いていたから、知らないうちに擦れたのだろう。
こういう山では長袖と手袋が必須に近いのだが、真夏の低山でそこまでしようとは思わなかった。そもそもウルシの大群なんて予想しなかったことだし。そういえば最近、山でウルシに出会うことが多い。低山が多いせいなのか、山道の手入れが悪いのか。
ウルシに負けた記憶はあまりない。「子供の頃に1回くらいあったかな」程度である。実は大人になってウルシ類に負けたことがある。それも家の中で。漆器ではない。マンゴーである。
30年くらい前、大量にメキシコ産のペリカンマンゴーをもらったことがある。今となっては「バブルだったかな」と思うのだが、それを毎日食べていたところ、唇が変になった。見た目にも少し茶色く変色していた。
「何でや」というところだが、ふと気づいた。「マンゴーって、ひょっとしてウルシ科では」と。調べると確かにウルシ科である。
家で食べると、マンゴーを手に持ち、「美味い、美味い」と浅ましながら皮の縁までしゃぶる。その結果、皮が唇に当たるのだろう。1、2回くらいではどうということはないのだが、それを何日も続けているとウルシの成分(ウルシオール)に負けるようだ。
調べると果肉にもウルシの成分があるから、「ナイフで切ってフォークで食べる」といいそうだ。とはいうものの、家でそんなことをやってられない。日本では高価なので、普通は負けるほど口にする食べ物ではないし。
せいぜい果物屋のオジさんやオバさんに、「マンゴー、負けてんか」と言う程度だろう。大阪人だけかな。

2021/07/16


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