川北英隆のブログ

三重岳を歩く

三重岳は「みえだけ」ではなく「さんじょうだけ」と読む。琵琶湖の北西にあり、その山並みから小浜が見える。1000mに少し足りない山だが、少しは涼しいかなと思い、今週の山として選んだ。
三重岳は滋賀県高島市が設定している「中央分水嶺・高島トレイル」の一部である。背は低いながらも日本海と琵琶湖を隔てている。中央分水嶺とはオーバーとは思うが間違いではなく、この山並みが降水を日本海と太平洋に分けて流している。
京都から簡単にアプローチできる。まず湖西線で近江今津に出る。今津とは、琵琶湖周航の歌に出てくる今津である。同じく周航歌に登場する長浜と並び、琵琶湖水運の町だった。
今津駅の西口からJRバスの小浜行きが出ている。1時間に1本ある。
小浜には高校生の頃だったか、父親の車で行ったことがある。覚えていないが、多分、今津からJRバスとほぼ同じコースを通って小浜に入ったのだろう。今でも京都から小浜に行くには、敦賀まで出て小浜線に乗り換えるよりも、バスのほうがはるかに早いはずだ。
JRバスを保坂(ほうさか)で降りる。保坂は小浜から今津への街道と、京都への街道とが交わる地点にある。小浜側から標高わずか280mの水坂(みさか)峠を越えると今津、すなわち琵琶湖である。現在、この水坂峠越えは旧道になっている。その少し北に水坂トンネルができたからである。
保坂からは旧道を水坂峠まで歩く。峠の少し手前(今津寄り)を高島トレイルが交わる。その高島トレイルを北東側に登る。水坂峠付近は平坦に近い沢になっていて、踏み跡には草や倒木がかぶさり、少し怪しい。とはいえすぐに明瞭になり、じきに稜線に出る。
小さなアップダウンを過ぎ、石田川ダムへの道を分け、長い登りを経て武奈ヶ岳(865m)に着く。三角点はないものの、琵琶湖、小浜が見え、目標である三重岳がどっしりと大きかった。
武奈ヶ岳から先はその名のとおりブナの林が美しい。一旦650mくらいの地点まで下りた後、三重岳への登りである。この登り、地形的に少し複雑である。踏み跡というかトレイルが怪しくなる箇所もある。梅雨明け直後の日差しの中、なかなか長くてきつい登りだった。
三重岳(973.9m)からは琵琶湖が望めた。この山頂、野坂山地(敦賀から小浜にかけて、日本海と琵琶湖を区切る山地)の中で一番高いはずだ。
三重岳から先、北へとさらに縦走し、途中でくるっと南に向きを変え、三十三間山(842m)を越えて小浜側に下りようと考えなくもなかったが、「この暑さでは無理」というので、三重岳から南尾根を下った。この尾根、不明瞭な箇所がないわけではないが、全般的によく踏まれていた。
石田川沿いの林道に出る。後は車道歩きなのだが、ダムまでの間、土砂崩れや倒木が何箇所かあり、路肩の崩壊した箇所もあった。ダムから上流部は通行止めになっていた。
ダムから下り、角川(つのかわ)の村に出る。その南の外れ、水坂トンネルの東側出口にJRバスの角川停留所がある。日差しが強く、遮るもののない停留所が、その日の山歩きを象徴していた。
写真、上は武奈ヶ岳から見た小浜方面である。手前、右から中央にかけて三十三間山の稜線が続く。下は武奈ヶ岳から見た三重岳である。
20210721武奈ヶ岳からの三十三間山.jpg

20210721武奈ヶ岳からの三重岳.jpg

2021/07/21


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