川北英隆のブログ

現代版桃園の誓い

20年少し前だろうか、それぞれ別の金融機関に勤めていた3人が、「今後は互いに助け合おう」と誓った。『三国志演義』での劉備、関羽、張飛の3人みたいなものである。「20年くらい前」で「3つ」というと「みずほ」を思い出すかもしれないが、それではない。
三国志演義での誓いは義兄弟の誓い、生死をともにする誓いだから、現代風に解釈すると少し怪しいが、もちろんそれとも違う。
別々の金融機関で働いているわけだから、互いに補完できることがあるのではというのがそもそもの発想である。どんな金融機関かというと、1人は長信銀、僕は生保、もう1人は外資系投資銀行だった。当時の勤務先は年齢の順に記した。ということは順に、長兄、次兄、弟となる(やっぱり怪しい世界かな)。
この現代版桃園の誓いが役に立ったのかどうかは判然としない。とはいえ、3人はコロナ前まで定期的に仲良く集まって飲んでいたし、思い出すと僕なんかは長兄の住居を起点に海外旅行したし、弟の運転でいろんな海外の山にも行ったしで、世話になったと思う。もちろん、多少のお返しも(酒場で?)したように思う。
最大の悔いがあるとするのなら、三国志のような華やかな世界にならなかったことだろうか。それは仕方ないことだし、3人の誰かが政治家になり、天下国家を動かすなんて最初から想定外も想定外だった。
3人とも65歳を過ぎた。だから三国志的な仕事上の協力関係は終わっている。長兄は同じ会社で勤め上げたのに対し、次兄と弟は転職してしまった。
後は老後を助け合うことかと思うものの、残念ながら3人の趣味は異なる(アルコールは別にして)。今後の関係はオンライン会議システムも使いながら語り合うことか。
そう思うのだが、1人がオンライン会議システムを使ってない。オンライン会議システムを使えるようにするため、こちらから出向いてリアルでセッティングなどするわけにもいかないし(そんな出向くほど面倒なものでもないし)、そもそもその1人は「使いたくない」らしい。
困ったことになった。桃園の誓いからすると、またコロナの問題もあることからすると、1人があの世に逝ったに近いのかもしれない。

2021/10/16


トップへ戻る