
最近、いろんなところで株価純資産倍率(PBR)が1倍を割れている企業の株式を「ほんまに買っていいの、違うやろ」と書いている。そこで、PBRがそもそもどうやって決まるのか、PBR1倍割れとは何なのかを書いておく。
PBRは、「時価総額/株主資本(自己資本とも、純資産とも言われる)」である。それぞれを1株当たりの数値に直すと、「(1株の)株価/1株当たりの株主資本」となり、株価純資産倍率と言われる理由がはっきりとする。
同時に、PBRが1倍よりも小さい状態とは、株価が純資産より小さいことだともわかる。つまり株価が「解散価値未満」である。
とすれば、このようなPBRが1倍割れのとき、企業が解散してくれたのなら株主はうれしい。というのも、(会計の数値が正しい情報であり、会計上表示された株主資本の数値も正しいとするのなら)、企業が解散すると最終的に「純資産」が株主に手渡される。つまり、現時点の株価よりも大きな金額が株主として手に入る。
少しすばしっこい投資家なら、「PBR1倍割れの株式を買っておけば、大儲けやん」となる。でも、それなら「PBR1倍割れの企業がどうしてこんなに市場に多いのか」とついでに考えないといけない。適当に企業名を入れて株価を検索すると、2社に1社はPBR1倍割れである。しかしながら、大儲けのチャンスがそんなにゴロゴロ転がっているはずもない。変である。
理由は簡単である。企業が黒字決算であるのに自主的に解散したことがあるだろうか。赤字決算の企業であっても、解散しないように、破産しないようにと、あの手この手と尽くしているのが現実である。
PBR1倍割れ、解散価値未満未満の株式を買っても、今すぐに企業は解散せず、解散による投資収益が得られず、結局はその企業の株式が塩漬けになりかねない。
「すぐには」と書いたが、では「少し待てば」どうだろうか。待つ甲斐があるのか。この点を次に考えてみたい。
2022/07/21