川北英隆のブログ

PBR1倍割れは買えるのか

PBR1倍割れの企業が投資対象になるのかどうか、もう一度考えてみたい。その前に、日本でPBR1倍割れが珍しいのかどうかを数値で示しておく。
少しだけ古くなったが、2022年5月末の分析結果を示しておく(図表)。日経ヴェリタス6月19日号に掲載したものを転用した。対象は東証株価指数の構成企業であるから、東証第一部上場企業である。
データとして、過去10年間すなわち120ヶ月のうち、PBR1倍割れの月数がどの程度あったのかを用いた。各月末のPBRを調べた。
すると、1倍割れは平均で50.8%に達していた。つまり、どの月においても東証株価指数採用企業の約半数がPBR1倍割れだったことを意味する。
もう少し言えば、時価総額の大きな企業のPBR1倍割れは多くないが、それでも全ての企業が1倍を超えているわけでもない。大企業でも経営の良くない企業があるわけだ。反対に時価総額が小さくなればなるほどPBR1倍割れが多くなる。小規模の企業が千差万別というわけだろう(詳しくは調べていない)。
このようにPBR1倍割れが上場企業の半数にも達するのは、投資家として「経営が良くない」と評価する企業が多いからにすぎない。日本の上場企業の質の悪さの象徴である。比較のため、アメリカ市場の代表的な株価指数であるS&P500を構成している500社を調べたところ、PBR1倍割れはせいぜい20社程度、言い換えれば4%程度である。
それはともかくとして、PBR1倍割れ企業は、投資家の期待する利益を稼いでいない。しかもPBRが低い企業ほど、その1倍割れが長期間続く。要するに、不良な経営の質が良くなることは珍しい。とすれば投資家として、「経営の質が向上する」と余程自信が持てないかぎり、PBR1倍割れの株式に投資すべきでないことになる。
もしくは、株式を買い集め、経営者に対して「下手くそ、もう少し努力したらどうや、例えばこうやったらええのんと違う」と提言できればいい。さらには、企業の解散とは言わないまでも、「手持ちの現金を一気に配当したらどうや、ついでに遊んでる不動産を売却してそれも配当に回したら」と、半分企業解散を言い寄れればいい。
でも、普通の個人の株主には経営者に提言したり、言い寄ったりはできない。とするのなら、最初に言ったように、PBR1倍割れの株式には投資すべきでない。

20220722PBR1倍割れ.jpg

2022/07/22


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